権利法NEWS

 障害者の権利に関する条約をご存知でしょうか。国連総会で2006年12月に採択され、2008年5月に発効、日本も2007年9月に署名しながら、長らく国内法としての効力を持たせるための「批准」の手続がなされてきませんでした。

 障害者権利条約締結までの道のりは、それ自体が歴史的なもので、国際的には、国連による1975年の「障害者の権利宣言」、1981年の「国際障害者年」の取り組み、翌年の「障害者に関する国際行動計画」での「国連障害者の十年」宣言の採択、そして、1993年の「障害者の機会均等化に関する標準規則」の採択などがあります。

 これは、伝統的に「障害」を機能障害、すなわち障害者本人の機能の欠如ゆえに生じる問題であって、その解決は医療やリハビリによって機能障害を克服することであるとする医療モデル(個人モデル)の考え方から、障害を持つ人が、そうでない人と同じように社会内で自分で選択した生き方ができないのは、社会の側が必要な支援を提供しないからだとする「社会モデル」への転換を背景とするものです。

蒔田備憲著・生活書院

2200円

 

 著者はいまだ若き新聞記者(1982年生まれ)。あとがきを読むと、公私ともに辛い時期に、縁もゆかりもない佐賀支局に配属され、そこで出会った難病患者のものがたりに知らず惹きつけられ、気づけば150人以上の「難病」患者やその家族への取材を重ねていたという。

 私が彼と出会ったのは、障害者自立支援法違憲訴訟の原告代理人のひとりとして。自分の本来の業務とは無関係ながらも、難病患者を取材し、そのひととなり、生活を、抱えた困難を、「毎日新聞佐賀県版」の片隅で、粘り強く連載するその営みから、たくさんの人につながる中で、九州の原告に取材する窓口として、本書にも登場する青木志帆弁護士(自身が下垂体腫瘍術後の下垂体ホルモン分泌障害を抱える難病当事者)からの紹介ではなかったろうか。

 

事務局長 小林洋二

【世話人会の報告】

 1月18日13時から、東京の明治大学駿河台キャンパス研究棟会議室で、今年度第一回の世話人会が開催されました。参加者は漆畑眞人・小沢木理・亀岬陽子・木下正一郎・久保井摂・小林洋二・鈴木利廣・高岡香・高梨滋雄・中村道子(五十音順・敬称略)の各世話人。

医療基本法要綱案市民向けパンフレットについて

 医療基本法要綱案については、昨年九月に解説パンフレットを発行したところですが、本年度は、これとは別に、グラフィックで分かりやすい市民向けのパンフレットを作成することになっています。具体的にどのような形にするか、小林のレジュメをもとに意見交換を行いました。

 今通常国会で、昨年5月29日付「医療事故に係る調査の仕組み等に関する基本的なあり方」に基づき、医療事故死亡事案については、医療法の改正という方法によって、事故調査制度が新設される見通しであることは、本ニュースでもお伝えしてきたところです。

 ところが、1月23日、東京新聞はじめ報道各社から、前日に開催された自民党の社会保障制度特命委員会・厚生労働部会合同会議で「議論が不十分で拙速だ」との批判が相次ぎ、内容を見直す可能性があるとの報道がありました。

 医療被害者にとって、不十分ながらも事故調査制度の創設は長年の悲願であり、1999年から始まった厚労省の一連の医療安全対策のひとつの集大成でもあります。まずは制度を創設し、立ちあげなければ、これまでの議論や数多くの被害者の努力が無駄になってしまいます。

 そのため、当会もその構成メンバーとなっている「患者の視点で医療安全を考える連絡協議会医療版事故調推進フォーラム」の名前で、1月27日、自民党の関連部署及び厚生労働大臣に対して、医療事故調査制度創設のための医療法改正を求める要請書を提出しました。

 こうした要請活動の結果、1月28日に再度開催された自民党の合同会議において、二年以内に制度を見直すことなどを条件に大筋で了承され、予定通り今国会に制度創設を盛り込んだ医療法改正案が提出されることになりました。

 今回提出した要請書は以下のものです。

野田正彰著・講談社

 著者は精神科医ですが、それにとどまらず、幅広い分野で活動され、日航機墜落事故をはじめ数多くの犠牲者を出した事故の被害者遺族から丹念な聴き取りを行い、突然に大切な人をうばわれ家族の精神状態がどのような経過をたどるのか、またそこから何を学ぶべきかについて示唆に富んだ分析を加えた『喪の途上にて』、第二次世界大戦で日本軍から強制連行され、奴隷労働や性奴隷としての非人間的な取扱いを受けた生存者からの聴き取りをもとに著した「虜囚の記憶」、精神障害者の犯罪が報じられるたびに保安処分の必要性が強調される状況を踏まえ、一三件の重大事件について調べ、患者や家族からが発していた支援を求める叫び(クライシス・コール)を精神科医療や医療制度が受け止められず、事件を防ぎ得なかったのは何故か、医療はどうあるべきかについて論じた「犯罪と医療ークライシス・コールに応えたか」など、数多くの著書があります。エッセイストとしても優れた能力を発揮し、アジアの文学、芸術にも造詣が深く、真の知識人であり、決して同調圧力に屈することなく、たんたんとした、けれど真摯で判りやすい文章で、日頃気づきにくい問題を指摘してくれるその著書は、常に大切なことに気づかせてくれます。

 本書は、題名のとおり、うつ病に関して論じたものです。

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