私たちが目指す権利法の法律案

  改 定 案 現  在 趣  旨
1(c) (第二文として)すべて人は、安全な医療を受けることができる。 新 設 「安全な医療を受ける権利」を基本権の一つとして位置づける
2(a) 国及地方自治体は、広く国民及び地域住民に対し、又、医療機関および医療従事者に対して、本法に定める患者の諸権利につき周知させるために学校教育を含め必要な具体的措置をとるとともに、患者自身がその権利を十分行使しうるよう、すべての市町村に一定数の患者の権利擁護委員をおいて患者・家族からの苦情相談を受け、医療機関との対話の促進を含め苦情が迅速かつ適切に解決するよう援助しなければならない。 国及地方自治体は、広く国民及び地域住民に対し、又、医療機関および医療従事者に対して、本法に定める患者の諸権利につき周知させるために学校教育を含め必要な具体的措置をとるとともに、患者自身がその権利を十分行使しうるよう援助しなければならない。 「患者の権利擁護システム」を国及び地方自治体の義務として具体化する
3(b) 国及び地方自治体は、国民及び地域住民が等しく最善かつ安全な医療を享受するために、必要かつ十分な医療施設等の人的、物的体制を整備し、かつ医療水準の向上のため適切な措置を講じなければならない。 国及び地方自治体は、国民及び地域住民が等しく最善の医療を享受するために、必要かつ十分な医療施設等の人的、物的体制を整備し、かつ医療水準の向上のため適切な措置を講じなければならない。 「安全な医療を受ける権利」を基本権に位置づけたのに伴い「最善の」→「最善かつ安全な」に改訂
3(c) 国及び地方自治体は、国民及び地域住民がいつでもどこでも経済的負担能力に関わりなく最善かつ安全な医療を受けることができるように、又、医療機関及び医療従事者が最善かつ安全な医療を提供し得るように医療保障制度を充実させなければならない。 国及び地方自治体は、国民及び地域住民がいつでもどこでも経済的負担能力に関わりなく最善の医療を受けることができるように、又、医療機関及び医療従事者が最善の医療を提供し得るように医療保障制度を充実させなければならない。 「安全な医療を受ける権利」を基本権に位置づけたのに伴い「最善の」→「最善かつ安全な」に改訂
2(a) 医療機関及び医療従事者は、患者の人格の尊厳と健康に生きる権利を尊重し、患者との信頼関係を確立保持し、誠実に最善かつ安全な医療を提供しなければならない。 医療機関及び医療従事者は、患者の人格の尊厳と健康に生きる権利を尊重し、患者との信頼関係を確立保持し、誠実に最善の医療を提供しなければならない。 同上
2(d) 医療機関及び医療従事者は医療行為によって患者に被害が生じた場合、患者本人・家族・遺族に対して誠実に対応しなければならない。 新 設 5(l)「医療被害の救済を受ける権利」に対応して、医療側に誠実な対応を義務付けたもの
  前項の場合、医療機関及び医療従事者は、医療被害の原因の究明に努め、患者・家族・遺族に対し、責任の有無を明らかにして十分な説明を行うとともに、再発防止の措置を講じなければならない。   前項の「誠実な対応」には、原因究明・説明責任(アカウンタビリティ)の履行・再発防止措置が含まれることを明らかにする。
4(b) (第二文として)患者は医療機関あるいは医療従事者に対して、自己の治療経過に関する要約的文書(サマリー)の作成・交付を求めることができる。 新 設 5(f)から「サマリー」に関する部分を除き、「サマリー請求権」を「説明及び報告を受ける権利」の一部として位置づける。
4(e) (セカンド・オピニオンを得る権利) (検証権) 用語の定着に伴う改訂
4(f) 患者は、医療機関が有している自己の医療記録(カルテ等)を閲覧し、或いはその写しの交付を求めることができる。 患者は、自己の医療に関して、医療機関あるいは医療従事者から治療経過にかかる要約的説明文書を受けるとともに、医療機関が有している自己の医療記録(カルテ等)を閲覧し、或いはその写しの交付を求めることができる。 「医療記録の閲覧謄写請求権」の部分でサマリーに触れると、あたかもサマリーの交付が医療記録開示の一態様であるかのような誤解を生みかねないため、サマリーについては5(b)に移動した。
4(l) (医療被害の救済を受ける権利)患者に医療行為による被害が生じた場合、患者本人・家族・相続人は、迅速かつ適切な救済を受ける権利を有する。 新 設 「医療被害の救済を受ける権利」を患者の権利の一つとして位置づける。この具体化は別建ての法案による。
4(m) (苦情調査申立権)患者は自分の権利が侵害され、あるいは尊重されていないと感じるときは何時でも当該医療機関に対して苦情を申し立て、必要な場合には患者の権利委員会における調査を経たうえで、迅速な回答を得る権利を有する。 新 設 「患者の権利擁護システム」を患者の権利各則に具体化。
5(a)第1文 医療機関は、本法に定める患者の諸権利を具体的に行使する手続等(申立窓口を含む)につき施設内に公示しなければならない。 医療機関は、本法に定める患者の諸権利を具体的に行使する手続等につき施設内に公示しなければならない。 「患者の権利擁護システム」
5(b) すべての医療機関は、施設内において患者の権利擁護に関する業務に従事する患者の権利支援担当者をおくとともに、施設代表・患者代表および第三者委員からなる患者の権利委員会を設置して日常的に患者・家族からの苦情を受け付け、苦情の原因を迅速に調査し改善策を協議するなど、可能な限り対話を通じて適切に苦情が解決されるよう努めなければならない。 一定の規模を有する医療機関は、専ら患者の権利擁護に関する業務に従事する患者の権利擁護委員をおき、当該医療機関および医療従事者に対する患者の意見や苦情が適切に解決されるよう努力しなければならない。地方自治体は、一定の規模以下の医療機関における患者の権利を擁護するため、一定の地域内に存する医療機関を担当する患者の権利擁護委員をおかなければならない。 全ての医療機関に「患者の権利支援担当者」及び「患者の権利委員会」、市町村に「患者の権利擁護委員会」(2(a)の改訂部分を参照)という形で「患者の権利擁護システム」を整理した。
5(c)第1文 患者およびその家族、或いは法律上患者に代わって意思表明をなしうる者、又は法律上の保護義務を有する者は、医療機関及び医療従事者による権利の侵害がある時、或いは当該医療機関における患者の権利委員会が行った措置に不満がある場合(苦情申立に対して2ヶ月を経ても回答が出されない場合を含む)には、患者の権利審査会に対し、権利侵害の排除、或いは自己が求める権利の実現及び公平な紛争の処理を求めて、審査の申立を行うことができる。 患者およびその家族、或いは法律上患者に代わって意思表明をなしうる者、又は法律上の保護義務を有する者は、医療機関及び医療従事者による権利の侵害がある時、或いは患者の権利擁護委員会が行った措置に不満がある時、患者の権利審査会に対し、権利侵害の排除、或いは自己が求める権利の実現及び公平な紛争の処理を求めて、審査の申立を行うことができる。 5(b)の整理に伴う手続規定の改訂及び苦情申立に対する患者の権利委員会の回答が遅れている場合も患者の権利審査会への申立ができることとし迅速な解決を図った。