医療基本法制定による患者の権利の法制化に関する要請書

医療基本法制定による患者の権利の法制化に関する要請書

2012年11月15日

各政党 御中

患者の権利法をつくる会
事務局長 小林 洋二
〒812-0054 福岡市東区馬出1丁目10番2号
メディカルセンタービル九大病院前6階
TEL092-641-2150/FAX092-641-5707
http://kenriho.org/
E-mail:kenri-ho@gb3.so-net.ne.jp

 私たち「患者の権利法をつくる会」は、「医療における患者の諸権利を定める法律要綱案」を起草し、その制定に向けて立法要請活動を行うとともに、医療の諸分野における患者の諸権利を確立することを目的として、1991年10月に結成された市民団体です。

要請の趣旨

患者の権利擁護を中心とする医療の基本法の制定にご尽力ください。
医療基本法制定を貴党の方針とし、総選挙に向けたマニフェストにおいて明らかにしてください。

要請の理由

 日本国憲法は、生命、自由、および幸福追求に対する国民の権利について最大の尊重をすべきことを表明するとともに、すべての国民が、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有することを確認し、国が、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めるべきことを明らかにしています。医療は、人々の幸福追求権と生存権の実現に必要不可欠なものであり、医療制度は、それらの基本的人権を擁護するためにこそ存在します。
 我が国は1961年以来国民皆保険制を採用し、医療を受ける権利の保障に努めてきました。患者の自己決定権に関しても、国民にひろく認識され、インフォームド・コンセントの実践も普及しつつあります。しかし、重大な医療事故の多発、繰り返される薬害等により国民の医療に対する信頼は大きく揺らぎ、またその一方では、社会構造の変化による所得格差や地域的条件あるいは診療科における医療供給体制の不足等により、医療を受ける権利自体が脅かされ、医療の選択にかかる自己決定権も空洞化する状況が指摘されています。
 このような状況を克服し、患者の自己決定権の尊重を含めた最善かつ安全な医療を、すべての人が必要な時に受けられる医療制度を確立するためには、国・地方公共団体や医療の提供にあたる者のみならず、医薬品、医療機器等の産業、医療保険の保険者等医療に関わる全てのステークホルダーが、そしてまた国民自身が、医療の基本理念に立ち返り、それぞれの責務を果たしていくことが求められます。
 以上のような観点から、わたしたち患者の権利法をつくる会は、「医療における患者の諸権利を定める法律要綱案」を土台として議論を重ね、昨年10月に医療基本法要綱案世話人会案を策定、発表いたしました。これに引きつづき、本年3月25日には東京大学公共政策大学院医療政策教育・研究ユニット医療政策実践コミュニティー(H−PAC)「医療基本法制定チーム」の医療基本法要綱案が、3月29日には日本医師会医事法関係検討委員会の「『医療基本法』制定に向けた具体的提言」が発表され、医療基本法制定に向けてのシンポジウムやディスカッションが様々な形で行われています。
 医療基本法制定に向けての機は熟しています。
 なにとぞ、貴党におかれましても、医療基本法制定に向け党内の合意を形成し、総選挙に向けてのマニフェストにおいてその姿勢を明らかにしていただきたく、ここに要請する次第です。
 
   添付資料
     医療基本法要綱案世話人会案(2012年11月10日改訂版)
  与えられる医療から参加する医療へ(患者の権利法要綱案)