権利法NEWS

バックナンバー「238号」

事務局長 小林洋二

 6月7日の朝刊は、政府が、保険診療と保険外の自由診療を併用する「混合診療」を拡大し、患者の希望を重視して混合診療を認める新たな仕組みをつくることを決めたと報じられています。

 日本の医療制度の下では、公的医療保険の適用が認められる診療(保険診療)と、認められない診療(保険外診療)が分けられています。その保険診療と保険外診療を併用することを、「混合診療」といいます。

 この「混合診療」が行われた場合、原則として、その保険外診療部分のみならず、保険診療部分も含めて、保険給付を行うことができないというのが健在の健康保険法の解釈です。これを「混合診療保険給付外の原則」あるいは端的に「混合診療の禁止」といいます。全体が保険給付外ということは、基本的には全て患者の自己負担ということになります。

 

姜信子編 みすず書房

 2005年に設立され、毎年らい予防法違憲国賠訴訟熊本判決期日である5月11日に近い週末に開催されている「ハンセン病市民学会」。今年は記念すべき第10回総会が5月10日、11日の両日、群馬県草津市の国立ハンセン病療養所栗生楽泉園を舞台に開催されました。

 前夜祭に向けて九日夕方に現地に入って間もなく、全療協(全国ハンセン病療養所入所者協議会)会長の神美知宏さんの突然なる客死を知らされ、茫然とたたずみました。この三月に80歳の誕生日を祝ったばかり、その際、いのちをかけて闘うと高らか誓ったその誇らかな姿が目に焼き付いていただけに、ただただ天を仰ぎました。

 その二日後のまさに判決記念日である5月11日未明、かねて肺癌を病んでおられた谺雄二さんの訃報が市民学会参加者にもたらされました。今回の市民学会の全体統一テーマである「命の証を見極める」は、谺さんの発案によるものでした。

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