権利法NEWS

バックナンバー「235号」

事務局長 小林洋二

【世話人会の報告】

 1月18日13時から、東京の明治大学駿河台キャンパス研究棟会議室で、今年度第一回の世話人会が開催されました。参加者は漆畑眞人・小沢木理・亀岬陽子・木下正一郎・久保井摂・小林洋二・鈴木利廣・高岡香・高梨滋雄・中村道子(五十音順・敬称略)の各世話人。

医療基本法要綱案市民向けパンフレットについて

 医療基本法要綱案については、昨年九月に解説パンフレットを発行したところですが、本年度は、これとは別に、グラフィックで分かりやすい市民向けのパンフレットを作成することになっています。具体的にどのような形にするか、小林のレジュメをもとに意見交換を行いました。

 今通常国会で、昨年5月29日付「医療事故に係る調査の仕組み等に関する基本的なあり方」に基づき、医療事故死亡事案については、医療法の改正という方法によって、事故調査制度が新設される見通しであることは、本ニュースでもお伝えしてきたところです。

 ところが、1月23日、東京新聞はじめ報道各社から、前日に開催された自民党の社会保障制度特命委員会・厚生労働部会合同会議で「議論が不十分で拙速だ」との批判が相次ぎ、内容を見直す可能性があるとの報道がありました。

 医療被害者にとって、不十分ながらも事故調査制度の創設は長年の悲願であり、1999年から始まった厚労省の一連の医療安全対策のひとつの集大成でもあります。まずは制度を創設し、立ちあげなければ、これまでの議論や数多くの被害者の努力が無駄になってしまいます。

 そのため、当会もその構成メンバーとなっている「患者の視点で医療安全を考える連絡協議会医療版事故調推進フォーラム」の名前で、1月27日、自民党の関連部署及び厚生労働大臣に対して、医療事故調査制度創設のための医療法改正を求める要請書を提出しました。

 こうした要請活動の結果、1月28日に再度開催された自民党の合同会議において、二年以内に制度を見直すことなどを条件に大筋で了承され、予定通り今国会に制度創設を盛り込んだ医療法改正案が提出されることになりました。

 今回提出した要請書は以下のものです。

野田正彰著・講談社

 著者は精神科医ですが、それにとどまらず、幅広い分野で活動され、日航機墜落事故をはじめ数多くの犠牲者を出した事故の被害者遺族から丹念な聴き取りを行い、突然に大切な人をうばわれ家族の精神状態がどのような経過をたどるのか、またそこから何を学ぶべきかについて示唆に富んだ分析を加えた『喪の途上にて』、第二次世界大戦で日本軍から強制連行され、奴隷労働や性奴隷としての非人間的な取扱いを受けた生存者からの聴き取りをもとに著した「虜囚の記憶」、精神障害者の犯罪が報じられるたびに保安処分の必要性が強調される状況を踏まえ、一三件の重大事件について調べ、患者や家族からが発していた支援を求める叫び(クライシス・コール)を精神科医療や医療制度が受け止められず、事件を防ぎ得なかったのは何故か、医療はどうあるべきかについて論じた「犯罪と医療ークライシス・コールに応えたか」など、数多くの著書があります。エッセイストとしても優れた能力を発揮し、アジアの文学、芸術にも造詣が深く、真の知識人であり、決して同調圧力に屈することなく、たんたんとした、けれど真摯で判りやすい文章で、日頃気づきにくい問題を指摘してくれるその著書は、常に大切なことに気づかせてくれます。

 本書は、題名のとおり、うつ病に関して論じたものです。

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