権利法NEWS

第一回世話人会の報告等

事務局長 小林洋二

【世話人会の報告】

 1月18日13時から、東京の明治大学駿河台キャンパス研究棟会議室で、今年度第一回の世話人会が開催されました。参加者は漆畑眞人・小沢木理・亀岬陽子・木下正一郎・久保井摂・小林洋二・鈴木利廣・高岡香・高梨滋雄・中村道子(五十音順・敬称略)の各世話人。

医療基本法要綱案市民向けパンフレットについて

 医療基本法要綱案については、昨年九月に解説パンフレットを発行したところですが、本年度は、これとは別に、グラフィックで分かりやすい市民向けのパンフレットを作成することになっています。具体的にどのような形にするか、小林のレジュメをもとに意見交換を行いました。

 考え方としては、「市民向け」といっても、これまで全くこの問題に興味を持っていない一般の方に興味を持ってもらうようなパンフレットを作成することは困難であり、むしろ、患者団体、医療関係団体といったこの問題に関わりのある人たちや国会議員を読者に想定して作成すべきではないかということになりました。医療基本法とは何か、なぜいま医療基本法が必要なのかということからはじめて、患者にとっても医療者にとってもメリットのある法律だということを理解してもらうことを主眼に、引き続き構想を練っていくこととします。

医療基本法制定に向けての国会議員への働きかけについて

 国会議員への働きかけは大きな課題ですが、昨年の総会以来現在まで、動けていません。やはり福岡の事務局中心ではなかなか難しいものがあります。

 今年度は、新たに就任した高梨滋雄世話人(患者の権利オンブズマン東京)に、国会対策の担当者として動いていただけることになりました。具体的な方針は、この後に行われた三団体意見交換会での議論に譲ります。

医療法改正〜患者の責務条項について

 けんりほうニュース226号で紹介したとおり、今回の医療法改正に、「患者の責務」条項を盛り込もうという議論があります。

 「医療に関する国民の責務」、「患者の責務」については、基本法要綱案策定過程でも議論を重ねてきたところですが、今回の世話人会で、改めて、「医療資源の適正な利用」というレベルでの国民及び患者の責務については反対しないけれども、それは、医療制度の目的が、国民の医療に関する基本的人権、患者の権利を保障するためのものであるという根本的な理念を明確にすることが前提であることを確認しました。これに加えて、各ステークホルダーの医療に対する責務を明らかにする医療基本法の制定を求めるという趣旨の意見書を作成して、厚生労働大臣及び社会保障審議会医療部会宛に送付することになりました。

次回世話人会の日程

 4月12日(土)13時〜15時

 場所は、今回と同じく明治大学駿河台キャンパス研究棟会議室を予定していますが予約できるのが三月に入ってですので、確定次第お知らせいたします。

 

【三団体意見交換会】

 世話人会に引き続き、一五時から、患者の声協議会及びHーPACとの三団体意見交換会を実施しました。参加者は、患者の声協議会から、伊藤雅治さん、長谷川三枝子さん、埴岡健一さん、HーPACから田中秀一さん、前田哲兵さん。

 まず、昨年11月20日に開催された日本医師会医事法関係検討部会との意見交換会について、報告と議論が行われました。

 この11月20日には、まず鈴木利廣世話人が、日医の医療基本法草案に対する概括的な意見を述べました。概略は以下のとおりです。

○ 医療受ける権利そのものが人権として捉えられていない。患者の基本的権利のさらなる拡充が必要。

○ 患者の診療協力義務と医療者の義務が対等になっていない印象がある。対等な信頼関係で整理すべき。

○ 政府に向かって患者の権利を擁護することが医療提供者の責務であるという宣言的な条項がほしい。

○ 医師会には医療の不確実性を強調したいとの意見が強いようだが、医療の不確実性を法律で明らかにするということにはならない。むしろ、不確実だからこそ事故が起こる、ということを前提とした医療事故再発防止策を謳うべき。

○ 国と自治体の責務の関係性が不明確。地域格差是正責任を負うべきは国であることを明確にすべき。

○ ステークホルダーを国、自治体と医師、医療者に限定しているが、それを保険者、医療産業、患者等にも拡げるべき。

 これに対して、医事法関係検討委員会の委員からはかなり懐疑的な質問が出ていたようです。

 三団体から参加したメンバーの印象としては、日医の医事法関係検討委員会の中でも、草案をとりまとめている中心メンバーは、私たちの主張している医療基本法に親和性を持っている一方、抵抗感を持っている委員も多数存在し、現段階の医事法関係検討委員会の医療基本法草案を日本医師会の案にするだけでも楽ではなさそうだということです。したがって、日医の医療基本法草案に、私たちの考えを反映させて共同の医療基本法要綱案を創り上げるという目標は掲げるにせよ、それに拘ることなく、日医と三団体それぞれが、自らの案で国会議員に対するロビー活動を行い、超党派の議連の中ですりあわせを行うという形をめざすのが現実的だということで意見が一致しました。

 その後、超党派の議連の結成を働きかけるために、どのような議員要請活動を行うべきかについて議論が移りました。与党を中心に、様々な面でのキーパーソンを挙げて議論し、当面、自民党対策を患者の声協議会が、民主党対策をHーPACが、公明党対策をつくる会が中心になって行うという分担を決めました。この活動については、新しく三団体の医療基本法制定運動についてのMLをつくり、そこで情報を共有化し、できるだけ三団体共同での議員面談を実現するよう努めることにします。また、そのツールとして、三団体共同骨子と、三団体を紹介するA4裏表程度のペーパーを小林の方で作成することになっています。

 今年こそは、三団体で力を合わせて医療基本法制定をめざす超党派議連の結成を実現させたいものです。

 次回の会議は、今回と同じく、4月12日(土)に行われる当会の世話人会に引き続き、同日15時からの予定です。