書籍紹介
『患者と医療従事者の権利保障に基づく医療制度-新型コロナウイルス禍を契機として考える』
岡田行雄編著 現代人文社
この時期、まさに待たれていた書籍が発行されました。編著者らは、当会の常任世話人で、実質的顧問ともいうべき内田博文九州大学名誉教授の愛弟子の面々です。「はしがき」に、執筆者は内田名誉教授から指導を受けてきた刑事法研究者で、中には精神医療の問題に取り組んできた者もいるが、医事法の研究者がいるわけではない、と紹介されています。
新型コロナウイルスと医療基本法2
事務局長 小林 洋二
再び、新型コロナウイルス感染の蔓延が問題になっています。
前号でご報告したとおり、このコロナ問題の中で、医療基本法制定に向けた議論は一休みの状態です。しかし、議論が再開されたとき、私たちがこのコロナ問題をどう受け止めるのか、それは医療基本法にどう反映されるべきなのかが問われることは間違いありません。
世話人会では、この点について、メールとズームミーティングで議論し、また、医療基本法骨子七項目の共同提案団体とも意見交換を行いました。今号の別冊「新型コロナウイルス感染症問題に関する論点整理」は、現時点における議論の到達点を、(1)医療供給体制、(2)蔓延防止対策、(3)差別・偏見問題、(4)治療薬・ワクチン問題の4つの観点から整理したものです。
新型コロナウイルスと医療基本法
事務局長 小林 洋二
ほんとうならばいまころ、「医療基本法案いよいよ国会上程へ!」なんて記事をこのニュースに書けるのではないかと思っていたところですが、なかなか、そのような情勢ではなさそうです。
医師免許を有する国会議員は、四月三日、超党派の議員連盟、医師国会議員を結成し、六日、厚生労働大臣に、「コロナ専門外来の設立」、「新型コロナウイルス感染症対策基金の設立」などを求める決議文を提出したと伝えられています。医療基本法議連の主要メンバーと、この新たな議連の主要メンバーはかなりの程度重なっているのではないかと思われます。新型コロナ対策は喫緊の課題ですので、医療基本法の議論が後回しになるのは、ある程度やむを得ない部分もあります。
総会記念シンポジウム 医療基本法で医療に人権を根付かせよう
川川崎市 小林展大(弁護士)
シンポジウムの開催
二〇一九年一一月二日、明治大学駿河台キャンパス研究棟二階第九会議室において、シンポジウム「医療基本法で医療に人権を根付かせよう~みんなで動こう医療基本法パートⅤ~」が開催されました。その内容は、基調報告(医療基本法をめぐる現在の状況)、パネルディスカッションでした。
医療基本法制定に向けたシンポジウムはこれまでに四回開催されています。今年二月には医療基本法制定に向けての議員連盟が結成され、医療基本法制定に向けての動きが進み始めました。そのような状況下、今回はパートⅤとして、医療基本法ができるとどのような変化があるか、医療従事者の労働環境改善もテーマとして取り上げることができないか等といった問題意識のもと、シンポジウムを企画しました。