権利法NEWS

東京都  市 村 公 正

も一応臓器移植提供についてのドナーカードに記入して持っている。それほど真剣に考えていたわけでもない。お役に立つことがあれば灰にする臓器を提供してもよいくらいの軽い気持ちである。今回の臓器移植法成立後はじめて法のもとに実施された高知赤十字病院の騒ぎを見ると、これは大変なことなのだと改めて考えさせられた。

福 本 京 子

編集部より

「抑制廃止福岡宣言」をご存じでしょうか。福岡県直方市の有吉病院をはじめとする一〇病院が、従来老人医療施設において当然に必要な処置としてされてきた「抑制」を廃止することを宣言したものです。各紙に取り上げられ、反響を呼んでいます。福本京子さんはその有吉病院の婦長さんです。こちらからお願いして原稿を寄せていただきました。

患者の権利法をつくる会常任世話人  辻本 育子

、医療記録開示法要綱(案)の改定についての議論

小林事務局長から、改定案の説明を受けたあと、一九九五年に医療記録開示法要綱(案)を作成したときの経過や議論となった事項について、当時の事務局長だった池永弁護士から説明を受けました。そのなかで、対象を「診療記録」とせず「医療記録」としたのは、患者に関する医療記録をもれなく対象にするためにしたこと、また、「開示請求手続」の項を設けて「病院または医院の開示窓口で申請」としたのは、個人情報保護条例などでは、行政の窓口で開示請求をしまた開示するというやりかたになっており、病院または医院で直接請求できることが重要だという認識でこの項を設けたということでした。
その後、議論の中で、やはり、当時の議論とその結果はいまでも正しいということが確認されるとともに、請求権者のなかで、患者本人に判断能力のある未成年者(子どもの権利条約との整合性を保つために一六才以上の未成年者)が含まれることを明示することになりました。
また、患者本人が死亡した場合に遺族に開示請求権を認める場合の遺族の範囲についても議論をしましたが、病院側が一義的に開示請求権者の範囲を判断できなければならないという意味で、「相続人」とするのが適当ではないかという意見が多数を占めました。
また、費用の支払いについては、謄写に要する実費相当額とすべきであるとの意見になりました。
最後に、前回の世話人会では、一九九五年の医療記録開示法要綱(案)を「改訂」するという作業を行うという方針になったのですが、内容が医療記録の作成や保管にまで及んでいること、また、現在医療記録の開示については医師会ですら反対出来ないという状況のもとでは、看護記録・助産録も作成義務を法制化して、「医療記録の作成、保管、開示に関する法律(医療記録法)」という形での提案の方がよいのではないかという提案がなされ、事務局で「医療記録法」という形で要綱案を作成して、次回の世話人会で再度議論をすることになりました。

辻 本 育 子

  1. まず、小林事務局長から、前回世話人会以降の、カルテ開示法制化をめぐる動きについて報告がなされました。
    先月の「けんりほうニュース90号」にも書かれているように、厚生省が医療審議会に「医療供給体制の改革について」(議論のためのたたき台)を出して検討を求めていましたが、一月に三回開かれた審議会で一応議論は終わり、厚生省が二月末を目処に医療法改正の要綱案を作成し、三月の医療審議会に諮問するという予定になっているようです。厚生省としては、今国会に改正案を上程したいという意向を持っているようですが、日本医師会の反対を押し切って政府与党が法案を政府案として提案できるか、予断は許さない状況です。
    一方、カルテ開示の法制化に反対している日本医師会は、一月一二日に、「診療情報提供に関するガイドライン検討委員会」「診療情報の適切な提供を実践するための指針について」という中間報告を発表しました。これについては、本号に小林事務局長の解説がありますので、それを参考にしてください。
    また、二月一七日には、文部省が、「国立大学付属病院における診療情報の提供に関する指針(ガイドライン)」を発表しました。

東京都  小 林 尚 子

しい年、我が家は奇妙な食卓風景で迎えました。小さな重箱につめたやわらかいオセチと煮込んだ雑煮の母、お粥にOさん手作りの梅干しの私です。
年末に疲れてふらふらの身体で入浴中の母の背中を流しました。そのツヤに大病もなく年を重ねた人のすごさを再認識し、逆もあるかもしれない、その時老いた母はどうなるのか。そんな思いがかすめたものです。そして迎えた新年の食卓でした。  

47  48  49  50  51  52