権利法NEWS

小林 洋二

前号でお知らせしたとおり、八月二八日にロードマップ委員会からのヒアリングが予定されています。先日、事務局から「検討会委員が特に聞きたい事項について集約したので発言の中でこれらの点に触れてほしい」というペーパーが届きました。内容は次のとおりです。

(既存の法令などを整備し、医療全体を包括するような患者の権利の体系化を行うと想定した場合)

  • 障害となる要因はありますか。あるとすればその具体的内容をご教示下さい。
  • 医療現場にはどのような影響が生じるとお考えですか。
  • それぞれに独立した行政の所掌事務、専門知識に基づくきめ細やかな施策やその根拠となる個別の法令、医療関係の資格法等について、どのような影響が生じ、実務の現場でどのような対応を取りうるとお考えですか。
  • 医療従事者の職能団体等が作成した既存の倫理・行動規範、業務基準との整合についてはどのようにお考えですか。
  • 報告書の内容と医療現場の実態に乖離した部分はありますか。あるとすればその具体的内容をご教示下さい。

なるほど。こういった反対論が予測される、ということでしょうね。というわけで、二八日には、以下のようなことを話してこようと考えています。

 

久保井 摂

8月22日、福岡市内で開催された患者の権利オンブズマン主催の表記の講演会に参加してきました。

講師は山口大学の医療環境学教授谷田憲俊さん、私にとってはあの辛く苦しいJ.アナス『患者の権利』翻訳の労苦を共にした方です。

谷田さんは元々感染症専門医です。ちょうど報道が「この時期の流行拡大」を大きく報じ始めた頃で、タイムリーな講演会となりました。

 


全体事務局

ロードマップ委員会(正式名称「ハンセン病問題に関する検証会議の提言に基づく再発防止検討会」)の中間報告が厚生労働大臣宛に提出されたことを受け、五六団体連名による厚生労働大臣宛「患者の権利に関する要請書」を六月二五日付で提出しました。

一月二六日付でロードマップ委員会に提出した要請書は、最終的には四八団体連名でしたので、今回、八団体増加したことになります。下垂体患者の会、口唇・口蓋裂友の会、日本ナルコレプシー協会、日本心臓ペースメーカー友の会等の患者団体や、肝炎基本法制定運動を活発に展開している薬害肝炎全国原告団及び弁護団等が新たに戦列に加わりました。なお、前回の要請書には名を連ねたものの、今回は賛同を見合わせるという団体もありますが、基本的には組織決定のタイミングの問題であり、特に反対ということではなさそうです。少しずつではありますが、患者の権利法制化を求める声は着実に浸透しつつあります。


2009年6月25日

厚生労働大臣  桝添 要一  殿

「安全かつ質の高い医療を受ける権利」及び「患者の自己決定権」等を国民に保障し、その権利を実現するため、医療提供体制及び医療保障制度を整備する国・地公共団体の責務を明らかにする法律を、日本の医療制度全ての基本法として制定すべきです。

「ハンセン病問題に関する検証会議の提言に基づく再発防止検討会」の提言を尊重し、早急に、法制化に向けた作業を開始していただくよう要請いたします。

 

鈴木 利廣

週末に患者の権利オンブズマンの「全国委員会」(土)と、「10周年記念国際シンポ~患者の権利擁護促進のための裁判外苦情手続の現状と今後の課題」(日)、に参加してきました。

10周年シンポ報告での、オランダ(ゲバーズ報告)、米国(李報告)、英国(ニアリー報告)の現状は、日本の今後の実践にとって示唆的でした。

以下報告いたします。


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