事務局長 小林洋二
10月19日、東京のAP品川九階会議室で、第二三回総会が開催されました。
小林から、議案書に沿ってこの一年間の患者の権利に関する動きを報告した後、現段階の情勢及び今後の方針に関する討議に入りました。
日本医師会は、今年1月から9月にかけて、ブロック単位の医師会連合会との共催という形で医療基本法制定に関するシンポジウムを開催しています。しかし、一般公開されたのは1月開催の福岡、3月開催の札幌までであり、5月の奈良シンポジウム以降は、会員のみの参加となっています。医事法関係検討委員会の方向性に対し、県医師会レベルで慎重論が強まっている可能性がありそうです。また、2月に発表された全日本病院協会「医療基本法全日病版(たたき台)」には、国民や患者の責務」の条項のみあって患者の権利の条項はありません。また日本病院会が、公表に向けて最終的な詰めを行っている「医療基本法策定に関しての日本病院会からの提言」には、医療事故についての刑事免責、民事免責が盛り込まれているとの情報もあります。医療関係者が、医療基本法という考え方に真剣に向き合い始めたという状況ではありますが、それだけ、「患者の権利擁護を中心とする医療基本法」という出発点から離れていく危険もあります。
日本医師会のシンポジウムのうち、福岡、札幌、奈良、大宮、広島には、常任世話人である鈴木利廣弁護士がパネリストとして参加、「つくる会」の要綱案の立場から、患者の権利擁護を中心とする医療基本法制定の必要性を訴えてきました。日本医師会は来年六月までに会内の意見をとりまとめる方針とのことであり、ここに、どれだけわたしたちの意見を反映されることができるかは、今後の医療基本法のありかたに大きな影響を及ぼすものと考えられます。今後、ともに三団体共同骨子を策定した患者の声協議会及びHーPACと連携しつつ、日本医師会医事法関係検討委員会に対し、共同骨子案の策定を呼びかけていくこととしました。
また、9月に完成した「医療基本法ー案文と解説」を普及するとともに、一般市民向けに図、イラストなどをいれたパンフレットを作成することなどが話し合われました。
医療事故調査制度に関しては、当初、今秋の臨時国会に医療法改正案提出が予定されていましたが、特定秘密保護法等の重要案件に押されて、提出予定が来年の通常国会にずれ込みました。厚労省としては、2008年の「第三次試案」、「大綱案」が、店晒しのまま潰れてしまった経過を踏まえ、今回は、「医療事故に係る調査の仕組み等に関する基本的なありかた」の線で押し切ってしまいたいという考えのようです。
今期最初の世話人会の日程を以下のとおり定めました。
日 時 1月18日(土)13時〜15時
場 所 明治大学駿河台キャンパス研究棟
四階第一会議室
15時以降は、患者の声協議会、HーPAC等とともに、医療基本法制定推進フォーラムの会議を予定しておりますので、世話人会に引き続きご参加ください。