権利法NEWS

第二回世話人会の報告等

事務局長 小林洋二

 2月5日17時から、東京の駿河台記念館で、今年度第二回の世話人会が開催されました。参加者は石井麦生・小沢木理・木下正一郎・久保井摂・小林洋二・鈴木利廣・高岡香・中村道子・藤井信子(五十音順・敬称略)の各世話人。

医療基本法要綱案ブラッシュアップ作業

 前回までの世話人会で、改訂作業は一段落というつもりだったのですが、解説付きパンフレット作成作業を開始した担当者から細かい部分の問題点が指摘され、さらに改訂を加えることになりました。今後の解説付きパンフ作成作業の過程で更なる改訂も予測されるところです。今回は現時点での変更について報告します。

昨年の総会で確認された2012年11月10日改訂版(パンフレット「患者も医療者も幸せになれる医療をめざして」に収録されているもの)からの主な変更点は以下のとおりです。

 

〇 IIの2のi及びIVの3のiiの「医療の提供にあたる医療従事者」という文言から、「医療の提供にあたる」という限定を外して、単に「医療従事者」と表現する。

〇 IIの4の標題を「インフォームド・コンセント」から「自己決定権(インフォームド・コンセント)に変更。

〇 IIの5に「不当な拘束などの虐待を受けない権利」を新設。

〇 従来のIIの5をIIの6として、iiの「臨床試験・研究」を単に「臨床試験」とする。

〇 IIIの3にiとして、医療と介護との連続性に配慮すべき国、地方公共団体の責務を新設。

〇 IVの2のiの「医療施設で勤務するすべての医療従事者」との文言から、「医療施設で勤務する」という限定を外して、単に「すべての医療従事者」と表現する。

〇 IVの2のiiの「最善かつ安全な医療を提供するよう努めるものとする」の前に「誠実に」との文言を加える。

〇 「〜することができる」と表現されている条項を、できるだけ、「〜権利を有する」という表現に統一する。

 世話人会終了後、以上の改定を加えた2013年2月5日改訂版を、各政党に送付して、意見交換を求めています。

 

医療基本法制定推進のための活動

 前述のとおり、医療基本法制定推進の活動として、既に解説付きパンフレットの作成作業が開始されています。世話人会では担当者からその進行状況が報告され、4月6日の次回世話人会までには、ひととおり原稿が揃うように準備をすすめるというスケジュールが確認されました。

 その次の目標である医療基本法Q&Aについても、小沢世話人よりQの叩き台が提出され、意見交換を行いました。

 医療基本法資料集については、石井世話人が作成を担当することになりました。

 医療基本法ブラッシュアップ作業は、2月5日改訂版で一段落ではありますが、解説パンフ及びQ&A作成作業の中でさらなる改訂点が浮かび上がってくることは当然だと思われます。今回の世話人会でも、「等」と「など」の表現の統一や、「と」、「や」、「かつ」の使い分けといったかなり細かい論点が指摘されるほか、大きなものとしては、現在の基本法要綱案では、「医療の公共性」という部分にいまひとつ踏み込めていないのではないか、(1)医療供給体制(アクセス(量)、質、財政)の公的コントロール、(2)政策形成過程の透明性と患者・市民参画、(3)医療にかかわるすべての関係者の役割(権限と責務)、相互関係性の明確化といった基本法の精神をもう少し前文で明確に謳うべきではないかとの問題点が鈴木世話人から指摘されました。大きな点から小さな点まで、今年の総会でのさらなるバージョンアップを目指して議論を続けることになります。

 

パンフレット「患者も医療者も幸せになれる医療をめざして」

 昨年11月10日に福岡市で開催されたシンポジウム「患者も医療者も幸せになれる医療をめざして〜みんなでつくる《いのちの憲法》」の内容を収録したパンフレットが完成しました。5000部を印刷し、実行委員会参加団体に希望部数を送っています。みなさまのお手許にも、今号とともにお届けいたしますので、是非、ご活用下さい。全体事務局までご連絡いただければ、希望部数をお送りいたします。