事務局長 小林洋二
七月二一日一五時から、東京の大久保のルノアールで、本年度第四回の世話人会が開催されました。参加者は石井麦生・小沢木理・亀岬陽子・木下正一郎・久保井摂・小林洋二・鈴木利廣・高岡香・中村道子・藤井信子・堀康司(五十音順・敬称略)の各氏。場所と時間がいつもと違うのは、その前に開催された医療福祉生協連との関係です。
医療基本法について
医療基本法世話人会案のIIの7「患者は、自分の権利が侵害され、あるいは尊重されていないと感じるときには、当該医療施設の開設者に対して苦情を申し立て、その解決を求めることができる」という条文に関し、患者の権利オンブズマン合宿で、「苦情調査を求める権利」であることを明確にすべきではないかとの意見が出たことが報告されました。
もともと、患者の権利法要綱案には、これに対応するものとして、「患者は自分の権利が侵害され、あるいは尊重されていないと感じるときは何時でも当該医療機関に対して苦情を申し立て、必要な場合には患者の権利委員会における調査を経たうえで、迅速な回答を得る権利を有する」(IVm)という条項があります。この「患者の権利委員会」は、「すべての医療機関は、施設内において患者の権利擁護に関する業務に従事する患者の権利支援担当者をおくとともに、施設代表・患者代表および第三者委員からなる患者の権利委員会を設置して日常的に患者・家族からの苦情を受け付け、苦情の原因を迅速に調査し改善策を協議するなど、可能な限り対話を通じて患者の意見や苦情が適切に解決されるよう努力しなければならない」(Vb)と定めているものです。
一方、医療基本法世話人会案は、基本法としての性質上、個別の部分を細かく書きこむことを避け、患者の苦情に対する医療機関の責務としては、「医療施設の開設者は、当該施設に対する患者の苦情を解決するため適切な措置を講じなければならない」と定めるにとどめました。一定規模以下の医療機関の場合、独自に患者の権利委員会を設置することが現実的かどうかという議論もあるでしょうし、いずれにせよ、苦情解決の仕組みについては基本法の下に個別法をつくる必要があると思われるからです。
そのため、患者の権利規定の方も、「…苦情を申し立て、その解決を求めることができる」というものにとどめているところです。単に苦情申立だけではなく「解決」まで求めることができるかどうかについて、昨年夏の横浜合宿の機会に議論されましたが、その際には、それぞれの苦情に適した解決があり、苦情によっては単に傾聴することが解決の場合もあり得るという考え方で、「解決」を含めることになったという経過でした。
以上の経過から、当面、現在の文言を維持しますが、もちろん議論は継続しますので、是非、ご意見をお寄せいただければと思います。
なお、基本法世話人会案ブラッシュアップ作業と並行して、解説文の作成作業を開始することになりました。
医療基本法福岡シンポの準備状況について
11月10日(土)に予定されている福岡シンポジウムの準備状況が報告されました。世話人会後に確定したことを含めて、現在の状況を報告します。9月2日の次回実行委員会までには確定させ、広報活動に入る予定にしています。みなさま、11月10日はぜひ福岡へお越し下さい。
医療基本法シンポジウム「患者も医療者も幸せになれる医療をめざして」
日時 2012年11月10日14時〜17時
場所 ガスホール(福岡市博多区千代1ー17ー1パピヨン24ビル2F)
【基調報告】
(1) 今村定臣さん(日本医師会常務理事)日本医師会「『医療基本法』の制定に向けた具体的提言」の報告
(2) 鈴木利廣さん(薬害オンブズパースン会議)から患者・市民の立場からの医療基本法制定に向けた取り組みを報告
【パネリスト】
(1) 石政秀紹さん(医療過誤原告の会)
(2) 平野亙さん(NPO患者の権利オンブズマン)
(3) 鮎澤純子さん(九州大学大学院医学研究院准教授)〜要請中
(4) 藤田一枝さん(民主党衆議院議員・厚労政務官)〜要請中
【実行委員会参加団体】
医療過誤原告の会、医療事故防止・患者安全推進学会、医療の良心を守る市民の会、医療問題弁護団、NPO法人患者の権利オンブズマン、大阪HIV原告団、患者なっとくの会INCA、患者の権利オンブズマン東京、患者の権利法をつくる会、九州・山口医療問題研究会、東京HIV訴訟弁護団、福岡県医師会、福岡県歯科保険医協会、福岡県保険医協会、薬害オンブズパースン会議、らい予防法違憲国家賠償訴訟西日本弁護団
実行委員会代表 内田博文さん(九州大学名誉教授)