権利法NEWS

第1回世話人会及びシンポ実行委員会の報告

事務局長 小林 洋二

第1回世話人会の報告

12月12日、東京の弘済会館で、本年度第一回の世話人会が開催されました。参加者は石井麦生・小沢木理・久保井摂・隈本邦彦・小林洋二・鈴木利廣・中村道子・平田孝・森田明の各世話人。10月31日に開催された総会では、時間不足でほとんど実質的な議論ができませんでしたので、今回の世話人会で改めて本年度の方針等が議論されました。

 

課題としては医療基本法制定運動が最大のものです。医療基本法と患者の権利法との関係については、これまで掲げてきた「患者の諸権利を定める法律要綱案」(患者の権利法要綱案)に代わるものとして医療基本法制定をこの組織の目的とするのか、あるいはカルテ開示や医療事故再発防止制度と同じように患者の権利の実現の一つの方法として医療基本法制定を推進するのかという問題があります。この点については今年二月の世話人会でも議論されたことですが(けんりほうニュース194号で報告)、つくる会が患者の権利法要綱案を「起草し、その制定に向け提唱及び立法要請を行う」(会則一条)ことを目的として結成されたものである以上、前者の形を採るにはまず現在の患者の権利法要綱案に代わる医療基本法要綱案を策定し総会での決議を経ることが必要だと考えられます。しかし、それと同時につくる会には「医療の諸分野における患者の権利の確立と法制化をすすめるため諸活動を行う」(前同)という目的があります。実際には、このような活動を通して、患者の権利法要綱案が掲げるインフォームド・コンセントを医療現場に定着させ、カルテ開示を厚労省ガイドライン及び個人情報保護法という形で制度化させてきました。医療基本法制定運動にもこのような形で進めることが可能です。

しかし、つくる会として医療基本法制定運動に取り組む以上は、包括的な患者の権利立法と評価できるような基本法を目指すことになります。結果として、私たちが患者の権利法要綱案で実現しようとしていたことが、この基本法制定によって実現する可能性もありますし、その方向で努力すべきことは当然のことです。

運動論としては、医療基本法制定を目指す様々な人たち、例えばHSPグループ、医療政策機構の市民医療協議会等も含めて結集するフォーラム的な緩やかな集まりをつくり、医療基本法の内容を詰める中で、患者の権利擁護を中心的な理念とする基本法要綱を策定し、賛同を拡げていくという方針が確認されました。

また、つくる会の組織として世話人及び常任世話人のあり方が議論されました。つくる会の実際の運営上は、世話人と常任世話人とは全く区別がありませんが、会則上は、総会において「総会から総会までの間の重要事項を審議決定する機関として」世話人会を選出し、世話人会において「つくる会の日常運営にあたりかつ対外的に会を代表する機関として」常任世話人会を選出することになっています。

現在、名目だけで活動していない常任世話人が多数存在する一方、世話人会に毎回こられながら常任世話人になっていない世話人の方もおられます。

そこで、今回の世話人会で、石井麦生・内田博文・亀岬陽子・木下正一郎・久保井摂・隈本邦彦・中村道子の各世話人(五十音順、敬称略)に、常任世話人をお願いすることになりました。みなさま、今後ともよろしくお願いいたします。

次回世話人会は来年2月7日(日)13時~14時の日程で主婦会館ブラザエフ(東京都千代田区六番町一五番地:JR四谷駅麹町口徒歩一分)三階会議室コスモスで開催します。

25周年シンポ実行委員会の報告

世話人会に引き続き、25周年シンポの第五回実行委員会が開催されました。最後の実行委員会であり、シンポジウムを総括する会議であると同時に、次の行動に向けての作戦会議でもあります。権利法世話人会のメンバー以外に、一樋義明さん(日本難病・疾病団体連絡協議会)、勝村久司さん(医療情報の公開・開示を求める市民の会)、宮脇正和さん(医療過誤原告の会)、オブザーバーとして小西洋之さん(HSP第四期医療基本法策定プロジェクト)が参加されました。

シンポジウムについては、前号で亀岬さん、小沢さんから詳しく報告していただいたとおりです。なお、このシンポジウムの記録は、近日中にホームページにアップする予定ですので、参加できなかった方は是非ご覧下さい。

http://sites.google.com/site/kenri25/

また、記録集も作成し、メッセージをいただいた方を中心にお送りすることになりました。

反省点としては、せっかくあれほどの集会になったのに、マスコミに対する事前レクが不十分でほとんど取材、報道がなされなかった点が挙げられました。実は10月14日、愛知県の県政記者クラブに鈴木実行委員長他総勢五名で乗り込んで記者レクをしたのですが、集まってくれた記者はたったの三名だったのです。現時点においては、単に記者レクをすると言っただけでマスコミが集まってくるほどの話題性のあるテーマではないと認識すべきであったこと、記者レクが成功しなかった時点で次の一手を考えるべきであったことなど、反省点を今後の取り組みに活かしていきたいと思います。

16時からは、医療政策機構市民医療協議会議長の埴岡健一さん、HSPの藍原寛子さん、矢上奈里さんも交えて、今後の医療基本法制定運動について意見を交換しました。

その結果、各団体での議論もこれからなので、当面は個人参加で仮称医療基本法制定推進フォーラムMLをつくり、情報交換を行っていくことが決まりました。次回は来年2月7日(日)のつくる会世話人会終了後の一四時から、まずはHSPの医療基本法骨子の解説を小西さんからしていただくことになりました。また、全国社会保険協会連合会理事長伊藤雅治さんもお招きして、医療基本法制定に向けてのお話をお聞きしたいと考えています。会員の皆様も是非ご参加下さい。