事務局長 小林 洋二
本年度の総会は10月31日に名古屋で開催することなっていますが、それに併せて患者権利宣言25年記念集会を企画し、実行委員会結成を呼びかけることになったことは前号でお伝えしたとおりです。
第一回実行委員会が、6月7日、東京の駿河台記念館で開催されました。参加者は、医療情報の公開・開示を求める市民の会から勝村久司さん、神奈川県医療問題弁護団から森田明さん、患者なっとくの会INCAから小沢木理さん、つくる会から、内田博文、亀岬陽子、木下正一郎、久保井摂、鈴木利廣、小林洋二の各世話人です(森田さん、小沢さんも世話人です)。そのほか、実行委員会参加団体としては、医療過誤原告の会及びNPO法人患者の権利オンブズマンがありますが、今回の会議には欠席でした。
企画の内容について
今回の集会は、患者の権利宣言以来二五年間、とりわけ二〇周年記念集会以来の五年間の患者の権利運動を振り返るとともに、「ハンセン病問題に関する検証会議の提言にかかる再発防止検討会(通称;ロードマップ委員会)の提言する「患者の権利擁護を中心とする医療の基本法」の制定を求める決起集会的なものです。そのため、一般の参加者を広く募るというよりも、これまで患者の権利運動を担ってきた患者団体、医療被害者団体、医療消費者団体、良心的な医療提供者層を結集し、これまでの運動の成果と現状認識及び医療基本法制定への展望を共有するところに重点をおくことになりました。
集会のテーマは、まだ未定ですが、とりあえずの仮題は「患者の権利宣言二五周年記念集会~患者の権利・医療基本法を考える」とします。
具体的な内容は、以下のとおりです。
ハンセン病問題に関する検証会議副座長、ロードマップ委員会座長代理として、医療基本法制定の提言に一貫して関わってきた内田博文さん(九州大学大学院法学研究院教授)による基調講演「(仮題)医事法におけるパラダイムの転換~国策に奉仕する医療から国民の命を守る医療へ」を三〇分。
患者運動、医療被害者運動、医療消費者運動、医療提供者の運動を語れるパネリスト各一名によるパネル・ディスカッション。コーディネーターはつくる会世話人の隈本邦彦さん(江戸川大学マスコミュニケーション論教授)。パネリストはこれから依頼することになりますが、医療消費者運動からは、NPO法人患者の権利オンブズマンから平野亙さん(大分県立看護科大学保健管理学研究室准教授)が内定しています。各人一五分、合計六〇分の予定発言の後、休憩を挟んでのディスカッションでは参加各団体からのフロア発言を積極的に求めることとします。
最後に、医療基本法の制定を求めるアピールの採択を提案します。
実行委員会の組織
実行委員会委員長に鈴木利廣世話人が就任、事務局を小林が担当することとします。
現段階での実行委員会参加団体は、医療過誤原告の会、医療情報の公開・開示を求める市民の会、NPO法人患者の権利オンブズマン、神奈川県医療問題弁護団、患者なっとくの会INCA及びつくる会ですが、これを拡大するため、近日中に集会の仮ビラとともに第二次実行委委員会へのお誘いを各団体に発送することとします。
財政的には、東京HIV弁護団医療と人権基金に二〇〇万円の援助を要請しています。実行委員会後、要請に応じる旨の返事をいただくことができましたので、参加団体に財政的負担はかけないことを伝えたいと思います。
第二回実行委員会は次の要領で開催いたします。
- 日時 8月1日(土)14時~17時
- 場所 中央大学駿河台記念館301号室
- 東京都千代田区神田駿河台三丁目一一番五号
- 14~15時を、内田世話人を講師とした医療基本法の学習会とします(なお13時~14時がつくる会の世話人会です)。
医療基本法に関連した動き
前号の世話人会の報告でもお伝えしたところですが、内閣府の安心社会実現会議で医療基本法が取り上げられ、六月一五日、「国民の命と基本的人権(患者の自己決定権・最善の医療を受ける権利)を実現するため、二年を目途にそのことを明確に規定する基本法の制定を推進しなければならない」との文言が入った最終報告書「安心と活力の日本へ」が麻生首相に手渡されました。
この最終報告書の内容は近日中に取りまとめられる骨太の方針二〇〇九に盛り込まれることになっています。骨太の方針自体は経済財政諮問会議の答申ですが、最終的には閣議決定となります。閣議決定で、「二年を目途」となれば、法制化に向けた委員会、検討会の設置などかなり本格的な動きとなることが予想されます。
「安心と活力の日本へ」は、消費税を含む税制改革や安心保障番号制度などの提言も含むものであり、必ずしも全面的に支持できるものではありません。政権の枠組みが変わった場合に、この方針がどこまで維持されるかも予測しがたいものがあります。しかし、私たちが主張してきた患者の権利法が、政府の方針として取り上げられるまでになったことは確かであり、私たちの側も立法作業に向けて体勢を整える必要があることは間違いありません。