権利法NEWS

世話人会の報告

事務局長 小林 洋二

二月七日、東京の中央大学駿河台記念館で、本年度第一回の世話人会が開催されました。参加者は、漆畑眞人、小沢木理、亀岬陽子、木下正一郎、久保井摂、隈本邦彦、鈴木利廣、谷直樹、中村道子、平田孝、藤井信子、森田明(五十音順・敬称略)の各氏。議論は多岐にわたりましたが、主要な点のみ報告します。

 

患者の権利法制定に関して

小林の方から、ロードマップ委員会宛二〇〇八年一一月二〇日付要請書及び二〇〇九年一月二六日付要請書の提出について報告した後、ロードマップ委員である鈴木世話人より、議論の現状についての報告がなされました。

ロードマップ委員会には、「患者・被験者の権利擁護の在り方」を検討するワーキンググループが設置され、そこで「患者・被験者及び医療提供者の権利と責務のあり方について」というペーパーがまとまりました。そこには、基本的には患者の権利法要綱案で保障しようとしている患者の権利が概ね含まれていますが、これをどのような形でルール化するのか(法制化かガイドラインか)といった点については、ワーキンググループ内でもコンセンサスは成立していません。そこで、やはりつくる会の世話人でもある内田博文委員の私案として、医療基本法制定を提言する報告案が出されています。これは名称としては「医療基本法」ですが、その実はワーキンググループで整理した内容の法制化を提言するものであり、実質的には「患者の権利法」制定の提言と理解できるものです。しかし、医療関係団体から出ている委員には、法制化に対する抵抗感は強く、この内田私案に沿った形でロードマップ委員会の提言がまとまるかどうか、楽観を許さない状況のようです。

世話人会では、「患者の権利法をつくる会」として、「医療基本法」制定を積極的に唱導すべきか否かが議論になりました。「医療崩壊」が叫ばれる中、「医療基本法」制定という議論の土俵に乗ることによって、「患者の権利」が埋没していくことを懸念する意見も出されました。しかし、名称が「医療基本法」であっても、内容的に患者の権利法制化と評価できるものであれば制定すべきであること、既に「医療基本法」制定を提唱する動きが始まっており(日本医療政策機構)、共同戦線を張ることも可能であること等から、ロードマップ委員会において内田私案に沿う形での医療基本法制定の提言が出された場合、それを積極的に推す運動を創っていくという方針が確認されました。

但し、この点については、会員のみなさまにも様々な意見があると思いますので、是非、ご意見を寄せて下さい。ロードマップ委員会の資料は、左のURLからダウンロードすることができます。

http://sociosys.mri.co.jp/hansen/090130.html

なお、次回のロードマップ委員会の開催予定は左記のとおりです。

  • 日時 三月六日午前一〇時~一二時
  • 場所 虎の門パストラルホテル
  • 東京都港区虎ノ門4-1-1

東京近郊にお住まいの会員の方は、是非、傍聴して下さい。小林も福岡から傍聴に行くつもりです。

診療関連死の死因究明制度について

医療版事故調推進フォーラムの状況及び今後の取組について木下世話人より報告がなされました。また、九州・山口医療問題研究会福岡県弁護団の呼びかけにより、「つくる会」として、四月一八日に予定されている福岡シンポの実行委員会に参加することになりました。福岡シンポについては、チラシを同封いたします。福岡近郊にお住まいの会員は是非ご参加下さい。

「医療を受ける権利」に関する緊急提言に向けて

昨年の総会の議論を受けて、小林の方で「安心と希望の医療確保ビジョン」、「五つの安心プラン」を整理したレジュメを提出し、それを踏まえて議論しました。しかし、この問題に関する情報量は膨大であり、何か具体的な方策を提言しようとすれば、膨大な情報を整理し、理解する作業が必要になります。これは専門家による研究対象であり、今後は、然るべき研究者を招いての勉強会を重ねるべきだということになりました。

今後の日程について

次回以降の世話人会の日時・場所が変更になりました。変更後の日時・場所は左記のとおりですのでお間違いのないよう注意してください。

  • 世話人会(場所;東京)     四月二九日(水)一三時~一七時
  • 世話人会(場所;東京)     八月 一日(土)一三時~一七時
  • 第一九回総会(場所:名古屋) 一〇月三一日(土)一三時~一七時