権利法NEWS

ハンセン病検証会議 患者の権利法を提言

事務局長 小林 洋二

ハンセン病問題に関する検証会議(金平輝子座長)に対し、「つくる会」としての「ハンセン病問題再発防止策に関する意見書」を提出したことは、けんりほうニュース152号でお知らせしたとおりです。

この検証会議が、7月13日、坂口力厚生労働大臣宛に「公衆衛生等の政策等に関する再発防止のための提言(骨子)~ハンセン病問題における人権侵害の再発防止に向けて~」を提出しました。

この提言は、第一の柱「政策決定過程における科学性・透明性等を確保するシステムの構築」、第二の柱「患者・被験者の諸権利の法制化」、第三の柱「患者等の権利擁護システムの整備」からなっており、厚労省に対し、これらの再発防止策を実現するための「ロードマップ委員会(仮称)」の設置を求めています。

第二の柱である「患者・被験者の諸権利の法制化」の内容としては、「最善の医療及び在宅医療を受ける権利」、「医療における自己決定権及び『インフォームド・コンセント』の権利」、「医療情報を得る権利」、「人を対象とする医科学研究の諸原則に基づかない、不適正な人体実験、医科学研究の対象とされない権利」、「断種・堕胎を強制されない権利」、「安心した療養生活を送ることができる権利」、「不当に自由を制限されない権利」、「作業を強制されない権利」、「社会復帰の権利」を中心として盛り込むことが求められており、さらに「患者及び家族等に対する差別・偏見等を防止するための国等の責務とその施策等についても規定する」とされています。私たちの権利法要綱案の視点から見ると、やや未整理に感じられる面もありますが、患者の権利各則の重要な部分はかなり盛り込まれていると言えるのではないでしょうか。

また第一の柱「政策決定過程における科学性・透明性等を確保するシステムの構築」についても、要綱案1章の「(a)医療に対する参加権」の具体化とも言えますし、第三の柱「患者等の権利擁護システムの整備」は、要綱案V章「患者の権利擁護システム」そのものです。

つまり、これらの再発防止策実現に向けての「ロードマップ委員会(仮称)」は、そのまま「患者の権利の法制化に関する検討会」になり得ます。この委員会が設置されれば、患者の権利法制定に向けての大きな一歩になることは間違いありません。

ハンセン病検証会議の最終報告は来年三月に発表される予定であり、再発防止策もさらに詳細なものになる可能性がありますが、いずれにせよ「患者の権利の法制化に関する検討会」を設置させるため、運動を強めていきたいと思います。

ハンセン病検証会議の再発防止提言をご希望の方は、全体事務局宛、メールまたはFAXでご連絡下さい。なお、日弁連法務研究財団のハンセン病事実検証調査事業のページ(http://www.jlf.or.jp/work/hansen_kaigi.shtml)でもダウンロードすることができます(http://www.jlf.or.jp/work/gijiroku/20040713.pdf)。