権利法NEWS

「病気及び障害による差別を受けない権利」 患者の権利要綱案改訂に向けて

事務局長 小林 洋二

152号で予告したとおり、「疾病を理由とする差別取扱の禁止」に関する権利法要綱案改訂の議論を再開します。

この問題については、2001年の第3次改訂の際から議論されており、二〇〇二年八月の世話人合宿(於愛知県犬山)では、I-gに「疾病による社会的差別を受けない権利」を新設することが確認され、同年一〇月の世話人会で八尋世話人のレジュメを叩き台とした議論が行われています。これまでの議論に基づき、全体事務局として、次の改訂を提案いたします。

I 医療における基本権」の章に、以下の条文を新設する。

(g)病気及び障害による差別を受けない権利

すべて人は、病気又は障害を理由として差別されない。病気又は障害を理由とするあらゆる差別は禁止され、撤廃されねばならない。

この提案にあたって全体事務局として検討したのは以下のような問題点です。

  1. I-eの「平等な医療を受ける権利」の中に、「すべて人は~疾病の種類などにかかわりなく、等しく最善かつ安全な医療を受けることができる」と謳われています。つまり、医療における「疾病による差別を受けない権利」は既に要綱案の中に含まれているのであり、今回の「病気及び障害による差別を受けない権利」は、医療の範囲を超えて、他のあらゆる場面での差別を防止するところに意味があると言えます。ところが・章の表題は、「医療における基本権」です。新設するgをI章におくことが、表題との関係で整合性に欠けるのではないか、あるいはI章の「医療における基本権」という表題が狭すぎるのではないかといった問題があるように思えます。
    但し、現在の要綱案の構成を維持する限り、・章以外に適当な場所はないので、これまでの議論どおりI-gに位置づけています。
  2. 「病気又は障害を理由とするあらゆる差別は禁止され、撤廃されねばならない」という第2文は、誰を名宛人としているのか曖昧な面もあります。
    単に「病気又は疾病を理由とするあらゆる差別は禁止する」とした場合、その名宛人は、国・地方自治体のみならず、差別の主体たりうる全てのものということになるでしょう。しかし「禁止され、撤廃されねばならない」とした場合、差別を禁止する(あるいは従来の差別的制度を撤廃する)権限を有する何らかの権力主体(国・地方公共団体のみならず企業体なども含まれるでしょう)を名宛人にしているようにも思えます。このあたりをどのように考えるべきか検討する必要があります。
  3. 従来は「疾病による社会的差別を受けない権利」として議論していましたが、「疾病」より「病気又は障害」の方が平易で分かりやすいという八尋世話人の提言に従い、表現を改めました。この表現を採用した場合、権利法要綱案は、I-eやIVc(2)で「疾病」という言葉を使っており、これも「病気または障害」と言い換える必要があるか、そのままでいいのかについても検討すべきだと思われます。また、敢えて「社会的差別」と限定する積極的意味はないと考えられますので、提案では「差別」としています。

6月20日の世話人会でこの問題を議論する予定です。それまでに全体事務局宛のメールまたはFAXでご意見をいただければ世話人会での議論に反映することができます。もちろん、上記以外の問題点でも、お気付きの点があればどんどんご指摘下さい。総会での第四次改訂に向け、多くの方にこの議論に参加していただくことを願っています。