事務局長 小林 洋二
先月号に続いて意見書提出のご報告です。
1月30日付「医療事故報告制度に関する意見書」を、医療に係る事故事例情報の取扱いに関する検討部会に提出しました。
新聞報道などによると、厚労省は、医療事故報告を受けて、事故原因や傾向を分析して、再発防止策を提示する第三者機関を創設する方針を固めたようです。「医療に係る事故事例情報の取扱いに関する検討部会」には「つくる会」以外にも、様々な団体から報告制度創設の意見が寄せられており、厚労省の方針決定を後押ししたものと思われます。
この厚労省の方針は、医療機関からだけではなく、患者・家族からの医療事故情報を受け付けること、またプライバシーに配慮した上での事故内容の公表すること等を含んでおり、これらの点に関しては、「つくる会」の要請した内容に沿うものになっています。
最大のポイントである医療機関への事故報告義務づけに関しては、「報告すれば刑事処分につながりかねない」と主張する医療機関側と、「任意に報告される差し障りのない情報は役に立たない」と制度の骨抜きを懸念する患者側の対立の中、検討部会は「再発防止が目的なのだから全ての事故情報が必要なわけではない」という意見に傾いていたようです。しかし、坂口厚労大臣は、24日、26日の国会質疑で、報告の義務化が必要との見解を表明、これを受けて、厚労省も、一定範囲での義務化の方針を固めたとされ、一部報道によれば、27日の「医療に係る事故事例情報の取扱いに関する検討部会」が公表した報告書骨子案に「重大な医療事故を収集するために特定機能病院など大病院については報告を制度化する」と明記されたとのことです。
実際にどのような形で制度化されるか、まだまだ予断を許しません。しかし、議論の焦点は、いよいよ医療被害補償制度に移ってくるのではないかと思われます。いずれにせよ、次号にまた詳細をご報告することになりそうです。