事務局長 小林 洋二
第12回総会が近づいてきました。
昨年の総会では、「安全な医療を受ける権利」を中心とした権利法要綱案の改訂、そしてそれを具体化するための医療事故防止・補償法要綱案の骨子を採択しました。
今年に入って、医療事故防止を巡る社会の動きは活発化しています。
厚労省の医療安全対策推進会議の報告書については、ニュース128号、129号でお知らせしたとおりですが、今年10月からは、いよいよ医療安全管理体制を整備していない医療機関に対する診療報酬の減算が実施されます。この制度の実施を前に、日本医師会は8月、医療安全管理指針のモデルを作成し発表しました(日本医師会雑誌第128巻第4号)。病院向けと診療所向けの二つのタイプがありますが、いずれも「事故発生後、救命措置の遂行に支障を来さない限り可及的速やかに、事故の状況、現在実施している回復措置、その見通し等について、患者本人、家族等に誠意をもって説明するものとする。患者が事故によって死亡した場合には、その客観的状況を速やかに遺族に説明する。」とされています。昨年6月に発表された国立大学医学部附属病院長会議の「医療事故防止のための完全管理体制の確立に向けて」に比較すると不徹底なものですが、それでも、事故であることを説明すべきであるとしている点は評価すべきでしょう。
また、7月には、厚労省に医療に係る事故事例情報の取扱いに関する検討会が設置され、医療事故報告制度についての検討が始まっています。
このような状況が、私たちの求める医療事故防止・補償制度実現に向けての大きなチャンスであることは間違いありません。このチャンスを最大限に活かす活動方針が求められています。是非、皆さんの知恵と力を総会に持ち寄って下さい。
また昨年の要綱案改訂で積み残しとなっているのが、精神障害や感染症患者の人権の問題をどう規定するかという問題です。
感染症医療の問題においては、昨年のハンセン病国賠訴訟判決で隔離政策の違法性が断罪されました。現在は血液製剤によるC型肝炎感染の問題がクローズアップされており、新たな課題が提起されつつあります。また精神医療の問題に関しては、「医療観察法案」が物議を醸しています。
現在、こういった問題に詳しい八尋世話人の方で改定案を検討中です。是非、総会でこの問題も議論したいと思います。
なお総会の日時・場所は後記のとおりです。是非、第12回総会にお集まり下さい。