事務局長 小 林 洋 二
要請行動の報告
6月18日午前10時、「医療事故・調査の制度化に関する要請書」を厚労省に持参し、要請行動を行いました。「つくる会」以外の参加団体は、医療問題弁護団(鈴木代表)、はばたき福祉事業団(大平理事長)、日本ALS協会(熊本事務局長)、薬害ヤコブ東京弁護団(阿部弁護士)。厚労省は新木医療安全推進室長が対応しました
前号のニュースで報告したとおり、厚労省は医療事故報告制度に関する作業部会を七月上旬に設置する予定とのことですが、名称も検討課題もまだ具体化しておらず、メンバーも調整中との回答でした。要請団は、患者側の弁護士をメンバーに入れるべきこと、また医療消費者団体を代表するメンバーの選定を公平に行うべきこと等を強調しました。新木室長は、単に聞き置くという態度に終始しました。
作業部会設置を報じた毎日新聞の報道は、厚労省が医療事故報告を制度化する方向で検討を始めるかのようなニュアンスに読めましたが、実際に面談した限りでは、制度化に対する前向きな姿勢は感じられません。今後、この作業部会に対して積極的に意見を出し、公正な議論が行われるよう監視する活動が重要です。この作業部会は公開で行い、日時は10日ほど前に厚労省ホームページで広報するとのことですから、東京近辺の会員の皆様には、厚労省ホームページを注目し、是非傍聴していただくようお願いします。
世話人会の報告
6月23日、中央大学駿河台記念館で本年度三回目の世話人会が開催され、合宿及び総会の企画を中心に話し合われました。
夏合宿企画について
合宿のテーマの一つは、「医療被害補償・再発防止システム設計上の論点整理」です。今回の「医療事故・調査の制度化に関する要請書」は、趣旨を「報告・調査を制度化せよ」という一点に絞りましたが、これに対して「もっと報告・調査制度の内容に踏み込んだ要請を行うべきだ」、「救済制度とリンクしない報告・調査の制度化を行うことの意義が不明」といった意見を寄せた団体もあります。そういった問題意識に応え、厚労省の作業部会にタイムリーな意見を提出していく上でも、合宿の議論は非常に重要です。
総括的な論点整理は全体事務局で行いますが、作業部会との関係で特に重要だと思われる以下の三点について、特に報告者を決めて準備することにしました。
1 医療事故報告制度の現状(福地)
特定機能病院や地方自治体における医療事故報告制度及び・医薬品副作用報告などの実態
2 医療事故報告制度と個人情報保護(森田)
報告に関する患者の同意・医療事故公表要件等の論点
3 事故報告に伴う免責の要否(小林)
自己帰罪拒否権(憲法三八条一項)との関係・アメリカの事故報告制度等の論点
もう一つのテーマは「触法精神障害者の人権」です。現在論議されている特別立法の問題点及び「患者の権利法要綱案」第四次改訂にどのように反映させるかの二点について議論を行います。
スケジュールとしては、報告者の日程の都合で順序を変更し、8月3日午後1時~3時に「触法精神障害者の人権」、同日三時から翌日午前中にかけて「医療被害補償・再発防止システム設計上の論点整理」を議論することになりました。
総会企画について
11月16日午前11時30分~13時に総会を行い、14時~17時に総会記念企画としてシンポジウム「患者の被害・苦情の公正な解決を求めて(仮称)」を開催することになりました。内容的には、患者の権利についての基調報告(報告者未定)、患者の権利オンブズマン活動についての福岡の実践と東京の挑戦(池永世話人)、医療被害防止・補償システムの構築に向けて(鈴木世話人)という三本の報告を柱に討議を行うというものです。開催地東京の会員の皆様、準備への御協力をよろしくお願いします。