事務局長 小 林 洋 二
本日20日の読売新聞朝刊には「ハンセン病訴訟、未入所分など国が和解拒否へ」の見出し。ところが西日本新聞夕刊の見出しは「ハンセン病、非入所者・遺族訴訟和解の回答先延ばし、与党3党熊本地裁に要請」。そして今、西日本新聞ホームページでニュース速報を確認すると「ハンセン病で年内全面決着一致、労働相と与党政調会長」として、「坂口力厚生労働相と与党三党の政調会長は20日、ハンセン病訴訟で未解決となっていた療養所非入所者と和解し、年内の全面決着を目指す方針で一致した」と報じられています。
読者の皆様ならご存知かと思いますが、このハンセン病の裁判は、1995年7月、当時国立療養所星塚敬愛園に入所していた島比呂志氏から「けんりほうニュース」に寄せられた「法曹の責任」と題する投稿をきっかけとして始まったものです。そして本年5月11日に、熊本地方裁判所がハンセン病絶対隔離政策を断罪する画期的な判決を下して以来、ハンセン病問題は一気に社会の耳目を集めるところとなりました。5月23日の控訴断念、衆参両議院による謝罪決議、補償法の成立、ハンセン病問題対策協議会の開始、基本合意の成立、国による非入所者及び遺族原告との和解拒否と、ハンセン病問題を巡る情勢は激動し、その後も非入所者及び遺族を原告とする裁判の結審、裁判所による和解勧告を経て、2001年も残すところ10日あまりという今日に至るまで激動を続けています。熊本地方裁判所が国に突きつけた和解受諾の回答期限は明日21日ですが、未だにどうなることやらさっぱり分かりません。
「つくる会」にとっても、今年は設立10周年を迎え、八年ぶりの権利法要綱案改定、「医療被害防止・補償法要綱案骨子」の採択と重要な節目の年になりました。特に「医療被害防止・補償法要綱案骨子」に対してはマスコミ各社からの問い合わせも多く、期待と注目を集めています。
しかし私自身がハンセン弁護団の一員として東奔西走していたこともあり、「つくる会」の事務局長として期待に沿えるような活動ができてこなかったことを会員の皆様にお詫びしなければなりません。「与えられる医療から参加する医療へ」第五版だけはなんとか今年中に出版するつもりだったのですが、結局のところそれもできないままになってしまいました。本当に申し訳ありませんでした。
2002年こそは、医療被害防止補償制度、カルテ開示法制化の実現、そして医療各分野における患者の権利の確立のために、微力を尽くしたいと思いますので、会員の皆様方にもどうかよろしくお願いいたします。
ハンセン病問題の年内全面解決と、会員の皆様のご健勝を祈念しつつ。