佐藤 有紀子
私は、現在、大学で消費者問題を勉強しております。今回、メディカル・コンシューマー(医療消費者問題)の授業の一環として「患者の権利法をつくる会」の夏合宿に参加させていただきました。
八月四日、ホテルに到着後すぐに、民主党の「医療の信頼性の確保向上のための医療情報の提供の促進、医療に係わる体制の設備に関する法律(案)」に関する議論が始まりました。法律に関して、あまり予備知識のない私にとって、配布された資料に目を通し、目的は何か。定義は?基本理念は?を理解することで精一杯でした。民主党案を検討された弁護士小林さんのご意見に耳を傾けることしかできませんでした。その後、弁護士加藤さんの「医療被害防止・救済センター」の構想についての議論へと入りました。資料の中にある「社会に事故情報を隠ぺいするのではなく、「過ちから学ぶ」ということを一つの大切な蕫文化﨟として作り上げていきたい」というフレーズが私の頭に残りました。そのためには、公正で透明性が十分に確保されている第三者の存在が必要だと感じます。医療事故の正確な件数を集計し、原因究明、そして再発防止への対策がとられるシステムは、患者だけでなく、医療分野に携わる人々も必要だと感じていると思います。この議論は白熱し、多くのアイディアが盛り込まれました。その分、やや時間切れ気味で意見が分かれた部分もありました。いずれにせよ、素晴らしいシステムが早急に作られることを願います。
初日の議論は18時まで続き、夕食時には、改めて自己紹介もかねての挨拶がありました。お酒の力が加わってか、まだまだ話足りないとばかりに、自由な意見が飛び交い、和やかで楽しい時間でした。夕食後も一つの部屋に集まり、夜遅くまで議論をされていた方もおられたようです。
二日目の午前中は、前日の続きで弁護士鈴木さんの提案されている「医療事故防止救済法要綱案」の骨子の検討でした。合宿前に蕫けんりほうnews.Vol.119﨟である程度内容を理解していたので、皆さんのご意見をじっくり聞くことができました。
二日間の議論には、法律の専門家である弁護士をはじめ、医療関係者、医療被害者の会、医療消費者、マスコミ関係者など、様々な分野からそれぞれのご意見がありました。どのご意見も現実の社会において問題になっていることで、十分検討しなければならないことでした。まだ、勉強中の私にとっては、見るもの、聞くもの初めてで、一瞬でも気を許すとついていけなくなってしまうほどの白熱した議論でした。皆、「患者の権利を確立する」という目的は同じでも、どこに主眼をおいているかで意見はわかれていくものだと感じました。
二日目の午後からは自由参加で飯綱高原を散策しました。東京は連日連夜、30度を超える真夏日でしたが、こちらは標高1000mの高原で涼しく、空気が澄んでいて景色がとてもきれいでした。暑さバテしていた体に新鮮な空気をたくさん詰めてきました。昼食での戸隠のお蕎麦が、これまた風情のある場所で、とても美味しかったです。
現在私は、多くの本を読み、自分の意見をまとめ勉強していますが、今回の合宿で、社会というのは机上の空論だけでは動いていかないと痛感しました。多くの方々のご意見を間近で聞き、今の私の視点から社会を斬ることは、学問的要素はあっても実用性は低いとつくづく思い知らされました。
「患者の権利法」が机上だけでなく、実社会でスムーズに動くよう一日も早く法制化できればと思います。そして、私たち医療消費者も、もっと権利獲得に向け声をあげ、倫理的道徳的に目に余る医者を「不必要な医師」として切り捨てられるような社会を作り上げていかねばと強く感じています。
最後になりましたが、右も左もわからない私を心よく迎えてくださった会の方々、合宿参加の方々、ありがとうございました。