権利法NEWS

第11回総会に集まりましょう

事務局長  小 林  洋 二

総会記念企画「事故から学ぶ安全な医療」へのお誘い

いよいよ第11回総会が近づいてきました。

今年は、八年ぶりの権利法要綱案の改訂、医療事故再発防止・被害救済システムの提言など、議論も盛りだくさんです。

さて、総会記念企画「事故から学ぶ安全な医療」のご案内です。

この企画に関しては、NPO患者の権利オンブズマンと薬害オンブズパースンタイアップ福岡、そして「つくる会」が呼びかけ人となって実行委員会を結成し、議論を重ねてきました。

オンブズマンに寄せられる説明不足の苦情の数々、インフォームド・コンセントと医療事故との関係、医療事故再発防止体制の中でカルテ開示はどうなっていくのか、はたまた原告勝訴が確定し国の責任が明確になったハンセン病訴訟、一方、薬害HIVのとんでもない安部無罪判決等々、際限なく拡がる議論の中から、企画のテーマとして絞り込まれたのは、やはり医療事故の問題でした。

「医療事故再発防止は、現実に起こった医療事故を率直に見つめるところから始めるべきだ。その医療事故の原因を究明し、責任の所在を明らかにすることによって初めて、医療事故再発防止に何が必要かが見えてくるのはずだ。」

「『医療事故はあってはならないもの』という建前が、医療事故の隠蔽体質に繋がっている。むしろ『医療事故はあり得るけれども減らさねばならないもの』という発想の転換が必要。」

「金銭賠償で満足している医療事故被害者はいない。原因が究明され、責任の所在が明らかになり、自分の経験が同じ被害の再発防止に役立つことが、本当の被害回復が実現するのではないか。」

そこで講演(第一部)を依頼することになったのが、ハーバード大学医学部助教授李啓充先生。「アメリカ医療の光と影」の著者です(読売新聞「こころ模様」の連載も素晴らしいものでした)。勿論、アメリカから呼びます。率直に言って、こんな費用をかける企画は「つくる会」始まって以来かもしれません。実行委員会に参加している九州・山口医療問題研究会による財政的なバックアップあってこその豪華企画!

第二部はパネルディスカッションです。

長尾クニ子さんは、医療過誤訴訟の元原告です。ご自分の体験を通じて、医療事故被害者が何を求めているかについて語っていただけると思います。

徳永三和子さんは、千鳥橋病院総婦長。千鳥橋病院は、福岡市内有数の大病院で、患者の権利章典の制定、カルテ開示ガイドラインなど、患者の権利運動の様々な局面で話題を提供してきました。徳永さんは現在、その病院でリスクマネジメントの責任者として活躍しています。

岡田朗さんは、糖尿病を専門とする内科医です。九州・山口医療問題研究会は毎月一回事例検討会を行っていますが、岡田先生が出席されるようになって以来、そのアドバイスを求めて持ち込まれる検討事例が飛躍的に増えました。相談を受けた医療事故紛争の件数では、医師として全国有数かもしれません。

大森夏織さんは、東京の医療問題弁護団に参加している弁護士です。今回の医療事故再発防止・被害救済システムの提言をまとめるにあたり、鈴木利廣世話人とともに中心的な役割を果たしました。東京HIV訴訟、東日本ハンセン国賠訴訟の弁護団にも参加されています。

なお、この企画の二日前である9月28日には、薬害HIV事件の松村元生物製剤課長に対する刑事裁判の判決が言い渡されます。企画の中で元原告の瀬戸信一郎さんから、この判決に関する特別報告をいただくことも予定されています。責任を明確にし、被害者の思いに応える判決が下さていることを祈りたいと思います。

いずれにせよ、第11回という区切りの総会を記念するに相応しい企画になることは間違いありません。参加費はやや高めですが、それだけの価値があるはずです。「事故から学ぶ安全な医療」に、是非ご参加下さい!