判決の日、空は青く晴れていました。
前夜、野外で行われた集会には1500人の市民が集い、全国13療養所の納骨堂から運ばれたろうそくの火が、13のカンテラに移され、暮れなずむ初夏の空の下、舞台の上に輝きました。
らい予防法とハンセン病政策によって故郷から追われた人たちの人権が回復され胸を張って故郷に帰れるようにと、1500人が一斉に合唱した「ふるさと」。その余韻がそのまま祈りとなって通じたような、すばらしい判決でした。
そうして、判決後、「控訴断念せよ」と、政府と国会を取り巻いた支援者の波。首相官邸前座り込みのあと、集会の席で、ひとりの原告が言いました。
「誇らしかった。裁判をしてよかった。原告になって本当によかった。」
控訴断念が表明された日、別な原告が声を震わせて言いました。
「やっと人間になりました。」
この誇り高い人たちと共に、わたしたちは、今から、本当の真相究明をやりとげ、二度と繰り返さない誓いを、しなければなりません。