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カルテ開示をめぐる最近の記事から

全体事務局

2月28日の朝日新聞朝刊に、『医師会指針ひそむ死角-訴訟の恐れがある場合カルテコピー不可26%』という記事が掲載されました。

全国の主要な病院を対象に実施したアンケートの結果を報じたものですが、4つに1つの病院は、訴訟を起こされる恐れがある場合にはカルテの開示を拒否している、とりわけ民間病院では3分の1が拒否すると回答しています。

記者は、「『信頼関係に基づいたカルテ開示』というお題目から透けて見えるのは、医療機関の訴訟に対する警戒感だ。」と指摘しています。

日本医師会の西島英利常任理事の談話が掲載されていますが、その内容は、日本医師会の公式コメントから考えて、まあこのようになるのはやむを得ないか、とも思いますが、患者の権利やカルテ開示についての、市民の「当たり前の意識」とはかけ離れた驚くべき内容です。カルテ開示を、多くの人が当然の権利として捉え、主張し始めている今日においての、この発言。やはりここは、患者ひとりひとりが、自分の権利をきちんと主張し、行使して、積極的によい医師・患者関係をつくっていく営みを通じて、変えていかなければならないものなのでしょう。

ここでは、ちょっと引用するのも悲しい、西島常任理事の談話をいくつか、記事からそのまま引用します。

「私は(渡さないのも)やむを得ないと思います。カルテだけでみますと、そのカルテが書かれた状況は読みとれないですから、意外と誤解が生じるケースが多い。裁判のためには証拠保全という方法があるわけですから、私どもは、どうぞ証拠保全をして下さい、と言っています」

「裁判となると、もう信頼関係は崩れてるわけですから、共通理解のもとで病気の克服を目指すという指針の目的とは、ちょっと違うレベル。」

「法制化しても何も変わらないですよ。私どもはカルテ開示は拒みません。ですが、法制化となると、見せろ、見せないのけんかになっちゃいますので、信頼関係をなくすことにもなりかねない」

ある意味、運動への意欲をかき立てる、言葉の数々です。「信頼関係」とは何ですか、と、改めて問いかけたいところです。