権利法NEWS

カルテ開示110番および世話人会の報告

事務局長  小林 洋二

カルテ開示110番

10月20日に札幌で、21日には東京・埼玉・山梨・広島・福岡・沖縄でカルテ開示110番が実施されました。相談件数は全国7カ所で合計77件です。

相談内容の詳しい分析はまだこれからですが、「請求したことがある」という相談22件のうち、実際に開示されたのは4件に過ぎませんでした。それも福岡の1例は証拠保全手続によるもの、東京の1例は本人による開示請求は拒否されて弁護士を通じて請求したところやっと開示されたもの、山梨の1例は閲覧はさせてもらえたもののコピーを交付してもらえないというものであって、本人がカルテ開示を請求してコピーまで入手できたのは埼玉の1例のみです。もちろん本人が開示請求を行ってカルテのコピーまで入手した場合、110番に相談するまでもないということはありますが(なお埼玉の1例は、カルテの内容と、自分がメモしていた内容が食い違っているという相談でした)、やはり各種カルテ開示ガイドラインがまだ機能していないことを示しているのではないでしょうか。

また、私が直接担当した福岡についていえば、遺族からの相談が非常に多かったことが印象的でした。「これから開示を請求したい」という相談11件のうち、遺族によるものが六例と半数以上を占めています。「死亡原因についてきちんと説明してもらえない」「医師の説明に納得できない」「裁判までは無理だと思うがとりあえずカルテだけは見たい」…。

会員のみなさまはご存じだと思いますが、現在実施されている各種カルテ開示ガイドラインの多くは、遺族を開示請求権者から外しています。やはり遺族に対するカルテ開示は大きな課題であることが実感されました。

世話人会の報告

10月22日、東京の駿河台記念館で世話人会が開催されました。

カルテ開示請求運動に関しては、「もらえますよカルテのコピー」リーフレットの見本と注文書を約150の医療関係・消費者関係の市民団体に送付しており、実際に450部の注文を受けて頒布しています。今後の活動として、1)カルテ開示110番第二弾の実施、2)来年度総会企画として、医療関係者の団体も巻き込んだ「カルテ開示法制化」シンポジウムの実施、3)各地域での学習会企画・リーフレット普及活動の三本の柱が議論されました。

総会の日時・場所は後記のとおりです。カルテ開示請求運動に関して小沢木理世話人から、権利法要綱案改訂(特に「医療事故の救済を受ける権利」の位置づけについて)に関して鈴木利廣世話人から問題提起を受け、議論を行う予定です。市民講座「医療事故の被害救済と弁護士の役割」(医療問題弁護団全国交流集会実行委員会との共催、詳しくは福地世話人の記事をお読み下さい)と併せて、是非多くの会員の皆様の参加をお願いいたします。