権利法NEWS

カルテ・レセプト開示110番のご報告

神奈川  森田 明

私が弁護士会の役員になったことを口実に会合への出席困難を申出たところ、「それじゃあ今年はお休みにしましょう」とばかりに昨年一年は神奈川の会合はなかった。そのまま休眠状態になりそうなものだが、年が明けると、ほどなく冬眠から覚め、活動再開となった。

そして、手始めに、今年からはじまった医師会のガイドラインによる開示はどうなっているのか、他の手続きによるカルテ・レセプトの開示も含めて実情を知るための「110番」をやってみよう、ということになった。
「市民の会」の勝村さんらも同様の企画を考えており、同じ日に実施することになった。 神奈川のメンバーは、いろいろなやり方で自らカルテ・レセプトの開示請求をした経験のある人が多かったが、最近の動向を整理するための勉強会(兼チラシつくりの作業日)を入れ、受ける電話は、プリペイド式携帯電話を購入し、あちこちにチラシを配り、記者会見をして、当日の7月8日を迎えた。

私の事務所の会議室に5人の会員が集まり、とりあえずテーブルの真中にお菓子を山盛りにして心を落ち着け、小さな携帯電話を見つめる。やがて電話の呼出し音が鳴り響く・・・
こうして午後一時から五時までに七件の電話がかかった(他に某弁護士からの励ましの電話一本)。電話回線は一つだが、長くかかりそうなものは私の事務所の電話に架け直してもらうなどして長時間ふさがないようにした。受けた相談は7件で、内訳は男1、女6。世代は40代2、50代1、60代3、不明1。平均相談時間は23分(最短5分、最長40分)。

相談内容は、予想されたことだが、開示請求をやってみて壁に当たっているといったものはなく、どうすればカルテ・レセプトをとれるのか、あるいは端的に医療事故にあって、どうすればよいのかといったものが多かった。治療への疑問のほか、支払い金額への疑問もあり、早期に開示がされていれば誤解が解けるなり責任が明確になるなりして決着が着いたであろうに、基本的な情報が入手できないために戸惑っている人が多いことが再確認できたように思う。
カルテ、レセプト開示の仕組みを広く知らせ、カルテ等を気軽に入手できるようにする必要がある。

私自身は、必要に応じてアドバイスをすることに徹し、直接電話を取るのは他の皆さんに任せた。しかし、他の会での電話相談の経験のある方も多く、その対応はお見事で、話を急ぐ傾向のある弁護士が対応するよりはるかによかったと思う。

記者からは、どうして権利法の「神奈川」だけが実施するのか、というもっともな疑問も出された。是非各地でこうした試みをしていただきたいものである。(ただし事前学習は結構丁寧にする必要はあろう。)