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議員立法によるカルテ開示法制化に向けて-国会議員との意見交換会の報告

患者の権利法をつくる会事務局長  小林 洋二

月1日、医療審議会は、カルテ開示法制化を先送りする内容の答申を行いました。これで、約二年間続いてきたカルテ開示法制化の議論は、厚生省サイドに限っていえば一段落ということになりそうです。非常に残念なことですが、勿論これであきらめるわけにはいきません。前号でお伝えしたとおり、議員立法へ向けての働きかけを始めます。

早速、7月6日に国会議員との意見交換会を行いました。呼びかけに応じて集まってくれたのは、家西悟、石毛えい子、金田誠一、清水澄子、竹村泰子、山本たかし(以上民主党)、中川ともこ(社民党)、瀬古由起子(日本共産党)の各議員。また朝日俊弘、直嶋正行(以上民主党)、佐藤静雄、清水嘉代子(以上自民党)、小池晃(日本共産党)、笹木竜三(無所属)の各議員の秘書の方も出席してくれました。

最初に私の方からこれまでのカルテ開示法制化の動きについて報告した後、「カルテ等診療情報の活用に関する検討会」及び医療審議会、また医療審議会「意見のとりまとめに向けた小委員会」の委員として一貫してカルテ開示法制化を主張してきた、朝日新聞論説委員の大熊由紀子さん(朝日新聞の社説でも法制化の論陣を張ってくださっているのはけんりほうニュース九四号でも紹介したとおりです)から、これまでの議論の流れについてお話しいただきました。
国会議員の方々からは、法制化に向けて極めて心強い発言がなされました。民主党は既に議員立法の議論を行っているということでしたし、日本共産党も、法制化賛成の方向で議論を行っているところとのことです。社民党の中川議員も、議員立法に向けての決意表明をしてくれました。
参加者で意見を述べたのは、「知る権利・ネットワーク関西」事務局長の岡本隆吉さん、「医療消費者ネットワーク・メコン」の清水とよ子さん、「子宮筋腫・内膜症体験者の会たんぽぽ」の渡辺優子さん、「乳がん体験から医療を考える会イデアフォー」の塩谷博子さん、「医療過誤原告の会」会長の近藤郁男さん、「医療情報の公開・開示を求める市民の会」の勝村久司さん、「大阪HIV訴訟原告団」代表の花井十伍さん、「薬害オンブズパースン会議」代表の鈴木利廣さん。予定時間を大幅に超過して熱い発言が相次ぎました。
医療審議会の答申が、日本医師会などの抵抗によって法制化先送りの結論となったのは極めて不当なことであり、批判していかねばなりません。しかし医療審議会はもともと「医療供給の体制について」議論する場に過ぎません。私たちが求める「患者の権利」としてのカルテ開示法制化を実現するためには、議員立法こそ本筋とも言えます。その意味では、「カルテ等診療情報の活用に関する検討会」に続いて医療審議会においても「カルテは患者の求めに応じて開示されるべきもの」という結論が確認されたこと、またこの間の議論の中で、日本医師会もカルテ開示を内容とする倫理綱領を採択せざるを得なかったことを大きな成果と捉え、議員立法に向けての武器として活用することを考えるべきだと思います。

とはいえ、国会は君が代・日の丸法案、盗聴立法、比例代表区定員削減など重い課題を抱えています。このような状況の中で、カルテ開示法制化の重要性を多くの議員に理解してもらい、議員立法を実現するのはそれほど容易なことではありません。今回の意見交換会を第一歩として、粘り強く働きかけを続けていく必要があります。また直接に国会議員に働きかけるだけではなく、カルテ開示法制化の世論を一層盛り上げることも重要です。現時点ではほとんどの新聞がカルテ開示を主張し、私たちにエールを送ってくれていますが、私たちの動きが止まればマスコミの報道もなくなり、「世論が鎮静化」してしまいます。会員の皆様にも、あらゆる機会を利用してカルテ開示法制化を主張し、この運動に参加していただくようお願いいたします。