患者の権利法をつくる会事務局長 小林 洋二
5月24日、厚生省に対する診療記録法制化の要請を行ってきました。要請書に賛同してくれた団体は32団体。集まったメンバーは、薬害オンブズパースン会議代表の鈴木弁護士(当会常任世話人でもあります)、同タイアップグループの谷弁護士、医療問題弁護団の福地弁護士、医療情報の公開・開示を求める市民の会世話人の新美さん、全国低肺機能者団体協議会事務局次長の古矢さん(団体としては機関討議を経る時間がなかったとのことで今回は個人としての参加)、当会常任世話人森谷弁護士、そして私の7名です。厚生省は健康政策局医事課で診療記録法制化を直接担当している下田課長補佐が対応してくれました。
要請書を手渡し、この問題に対する私たちの考え方を伝えた後、約30分程度の意見交換を行いました。下田課長補佐によれば、厚生省の考え方は、昨年12月に医療審議会に提出した「議論のためのたたき台」から変化はしていない(つまり法制化の姿勢自体には変化はない)が、審議会で意見が割れているので、現在のところは小委員会での議論を見守っているとの状況であるとのこと。これに対して私たちは、審議会での議論でも法制化の方向は既に明らかであり、単に日本医師会が筋の通らない抵抗をしているという状況に過ぎないことを強調し、早急な法制化を要請しました。
2時から予定されていた厚生記者会でのレクチャーは、私たちの前の記者会見(脳死・臓器移植の関係でした)が大幅延長になったため、3時頃にずれこみ、あまり時間がとれませんでしたが、25日付読売新聞朝刊が報道したほか、26日付朝日新聞社説「法制化の早期実現を」で取り上げられています。
慌ただしく記者レクを終えて、駒込の日本医師会に移動し、公開討論会の申し入れ。日本医師会は役員レベルや診療記録開示問題の担当部局の対応はなく、一階ロビーで庶務課長が当方の申入書を受け取りました。ほとんど門前払いに近い対応です。「とにかく返事だけはほしい、役員にしっかり伝えるように」ということで申し入れを終わりました。
今回の要請行動の一番大きな収穫は、賛同してくれた団体が32にものぼったこと、とりわけこれまであまり連絡が密でなかった患者団体と共同での行動がとれたことではないかと思います。しかし厚生省は既に、診療記録開示法制化に関し「医療を提供する側の自主的な取り組み状況を見つつ、その法制化について検討すべき」との方向で医療審議会小委員会の議論をとりまとめにはいったという情報も伝えられています。今回の要請行動を手始めに、賛同団体と力を合わせて、日本医師会に抵抗を諦めさせ、厚生省及び医療審議会の顔を国民の方に向かせるための運動をつくっていかねばならない、と改めて思いました。早急に企画を考えねばなりませんが、とりあえず今すぐできることは、皆さんがとっている新聞に開示法制化を求める投書を載せることです。投書が集中して、投書欄に「カルテ開示」特集が組まれるような状態になれば、マスコミの注目度も高まり、医療審議会での議論にも影響する可能性があります。
なお6月23日午後10時からのNHK教育テレビの「ETV特集」のテーマは診療記録開示問題で、「権利法をつくる会」の活動及び今回の要請行動が取り上げられる予定です。私たち七名が雨の中を厚生省に入る場面も撮影されました(実際に放映されるかどうかは分かりませんが)。こういった番組等を通じて、いくらかでも私たちの主張が伝わっていってほしいものです。