東 京 市 村 公 正
私達は昨年一〇月一日、医療事故市民オンブズマンメディオを創立いたしました。その目的とする所は次の如くであります。
「医療事故市民オンブズマン」とは、「医療の質の向上」「患者の権利の確立」「医療制度の改善」を図る医者・市民・医療関係者・弁護士等の人々によって構成される、非営利団体(NPO)です。「オンブズマン」とは、スウェーデン語で、「行政監察官」を意味します。「医療事故市民オンブズマン」は、行政に限らず、医療機関全般を監視します。
「メディオ」とは、「医療事故市民オンブズマン」(正式名称)の愛称です。
「医療事故市民オンブズマン」の英語名称"MEDIcal treatment troubule civil Ombudsman"から名付けました。
「医療事故市民オンブズマン(メディオ)」の目的は、大まかに、三つあります。
(1)医療事故を監視する。(2)医療事故の被害者を支援する。(3)医療情報の開示/公開を推進する。
一年間の活動の締めくくりとして総会シンポジウムを一一月一日神奈川県民ホールにて開催いたしました。幸いこの一年間に会員数も二〇〇名になり、弁護士、医師三名もスタッフに加わり、受けた医療相談も六〇件を超えました。
当会も役員をおかず、毎月の定例スタッフ会議にて運営され、一年間にカルテ開示、レセプト、医療裁判等について五回の例会を開催し、多くの国会議員、弁護士、医師薬剤師看護婦、市民の方々の参加を得てお話しを伺うことが出来ました。一二頁余のメディオニュースを六回発行して活動報告と情報公開をしております。ホームページには新しい情報等をその都度公開し、各被害者の裁判情報も明らかにして提供しております。
医療被害者や係争中の会員の個々の事例を処理し、担当者の分析をもとに支援しております。当会として処理不能な事例に関しては関連団体を紹介して問題解決を計っております。ただ相手方医療機関との交渉や、裁判については医療問題弁護団の方々の協力を得て処理しております。
九八年正会員事例集を発行し、裁判支援キットを発売しており被害を受けた方の問い合わせに応じております。
当日のシンポジウムは下記の方々で致しました。
メディオ公開シンポジウム
「市民の手による医療監視」
「医療裁判の現場から~安心できる医療を求めて」
一三時一五分 開会の挨拶
市村公正(メディオスタッフ・医師)
一三時三〇分 特別講演・対談「医療裁判の現場から~」
医療裁判の現状、医療事故調査会の活動、司法と医療への提言 医師 森功(医療事故調査会/代表世話人・医真会八尾総合病院院長)
弁護士 吉川孝三郎(弁護士・医療事故情報 センター/理事)
司 会 油井香代子(医療ジャーナリスト)
一五時三〇分 パネルディスカッション
「安心できる医療を求めて」
パネリスト 森 功
吉川孝三郎
油井香代子
長屋憲(医師・狭山保健所 所長)
阿部康一(メディオスタッフ)
個々の発言の内容は他の記録に譲るが、当日の会場には「裁判を正す会」代表の冨嶋克子さん(母を単なる風邪からくる障害と誤診した医師の副作用ある薬剤の過剰投与により死に至らしめた件、最高裁差し戻し審で本年九月に勝訴)が下関市より来場され、二〇年に及ぶ医療裁判のあり方について話をされた。
今後は医療記録等の情報開示だけでなく、医療裁判制度のあり方にも研究すべき点があると感じた。安心できる医療を受ける為にも為す可き課題は多い。メディオは多くの医療被害者が一体となって行動を起こす会なのである。