権利法NEWS

患者の権利法をつくる会-夏期合宿報告

世話人  市村 公正

998年7月25日 右記合宿が全国より約二〇名の世話人・会員を混じえて討議された。
プログラムは次の通りである。

一、厚生省「カルテ等の診療情報の活用に関する検討会」報告の評価と今後の運動方針について討議
二、「患者の権利擁護システム」について
・ 事務局からの報告(WHOヨーロッパ宣言、欧州視察の結果など主に医療事故以外の患者の権利擁護システムに関する調査報告)
・ 加藤良夫常任世話人から、医療事故被害救済システムの紹介
・ 福岡大学の朝見先生から、諸外国の制度の紹介
・ 討議
検討会報告については、法制化に対する要請書を作成し、素案について更に内容を慎重に討論し、これを近く厚生省健康政策局に提出することになった。

いで、医療被害者救済制度を国の設立する法人のもとでなすべきとの提言が審議された。朝見教授よりスライドをもとに話があった。各国とも患者の承諾なしに私的生活に関する情報を開示できない。個人のプライバシーが守られる権利を強く表記している。これ等の内容の詳細についてはメディオのホームページにアクセスして頂きたい。
医療事故の際の救済の範囲について
・ 医療過誤
・ 医薬品関連事故→製造物責任
・ 医療施設に関する事故→工作物責任
ただ過失責任の限界があり、高度な医療知識の応用、危険性の高い医療行為の出現により、充分な説明のもとに危険性を承知の上で同意した場合の免責について猶検討を要するとの意見も出た。
サービスについての欠陥は客観性がないので除外すべき、との論もある。
更にニュージーランドの特殊な給付制度、アメリカフロリダ方式ヴァージニア方式についても説明があった。
ただ各国共法制化して、医療機関にペナルティを科す国はなく、事故を起こした医師がどのように扱われるか未知の部分も多い。
いで名古屋の加藤弁護士より被害者救済システムについての構想が述べられた。
現行制度のもとでは裁判が長くかかり過ぎ、真の被害者救済にならない。申告より三月を目途にして、労基法、自動車事故の障害分類に準じて、級別に支払われるべき案が示され、質疑応答があった。
出席の方の中に弁護士が多く、医療従事者がこれに次ぎ、市民や被害者の出席が少なかったためか、法律論に終始し、現実的問題解決に未だ充分でない傾向もみられたが、今後の活動指針を示す上で、有意義な会であった。

「権利法をつくる会」は引き続き今後も医療情報公開についての努力を続け、更に被害者救済制度の設立についても研究してゆくことで合意し、本年の夏期合宿を終了した。