権利法NEWS

バックナンバー「172号」

浦瀬さなみ

 

 川崎協同病院安楽死事件の公判が始まった当初は、まさか、自分が海(東京湾)を越えて、傍聴に通うことになろうとは思いもしなかった。いくらなんでも遠すぎた。しかし、知り合いの記者から得た情報から、先の東海大安楽死事件に相当する重大事件との認識で審理が進められていることが分かり、これは自分で確かめなくては、という気になった。というのも、私は先の事件も傍聴していたのである。

 ふたつとも医師による安楽死で、方法として筋弛緩剤を用いたこと、家族の依頼に抗しきれず当行為に及んだことなど酷似している。しかも、本件の廣瀬健二裁判長は、先の事件では右陪席を担当しており、そこで氏の示した安楽死許容要件は、以後、同種の事件の合否性を判断する基準となり、現場にあっては、医師たちの終末期医療のあり方を強く規制してきたという事実がある。

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